物件情報
-
所在地:京都府京都市東山区上弁天町
-
交通:祇園四条駅(京阪本線)徒歩10分、東山駅(地下鉄東西線)徒歩15分、バス「東山安井」停徒歩3分
-
間取り・構造:5LDK相当/専有面積294㎡/鉄筋コンクリート造4階建て/築年月1988年5月(築38年)
-
賃料:月額900,000円(管理費等なし)
-
敷金・礼金:敷金500万円/礼金‐
-
契約形態:普通借家10年(案内)
-
用途備考:「民泊・ゲストハウスとしてご利用いかがでしょうか?」という記載あり。再契約相談可能。駐車場(無料)あり。
民泊適正評価
◎良い点
-
立地が観光優位なエリア:東山区下川原通は祇園・八坂塔・清水寺方面の観光動線に近く、国内外の宿泊需要を取り込みやすいポジションです。実際、町家貸し切り宿などこのエリアの「一棟貸し町家型民泊」が多数存在しています。 京都で遊ぼう+1
-
広さが豊富:294㎡という専有面積は、グループ・ファミリー・インスタグラマー用途など幅広く使える規模で、1部屋貸しタイプ以上の宿泊定員・収益ポテンシャルがあります。
-
貸主が民泊用途を想定している記載あり:「民泊・ゲストハウスとしてご利用いかがでしょうか?」という提案が物件情報に明記されており、転用ハードルの可能性が低めと考えられます。
-
建物構造がRC:鉄筋コンクリート造ということで、木造に比べて防音・耐久・荷重対応面で若干優位な条件と評価できます。
△気を付ける点/弱み
-
家賃の負担が極めて大きい:月額90万円という固定コストは、宿泊単価・稼働率ともにかなり高めに設定できないと収益化が厳しいです。
-
築38年という築年数・維持コストの懸念:築年数がかなり経過しており、設備・内装・排水・構造補修など将来的な修繕コストを見込む必要があります。
-
用途が“店舗貸し”という契約形態:物件情報では「一棟貸店舗」とされており、宿泊用途(旅館業許可・簡易宿所許可)への転用が可能かどうか、用途地域・建築確認・用途変更の確認が必須です。
-
アクセスが徒歩10〜15分:祇園四条駅徒歩10分・東山駅徒歩15分というのは観光地としては許容範囲ですが、荷物の多い宿泊客・空港アクセス・鉄道乗り換えなどを考えると“アクセス最高”とは言えません。
-
固定費以外の支出規模が大きくなる可能性:広さ294㎡ということから、清掃・リネン・光熱費・消耗品・スタッフ管理などの運営コストが1室貸し物件に比べてかなり高くなる傾向があります。
-
近隣住民・騒音・管理の高度化要:観光エリアゆえに近隣住宅や町家との共存が課題。グループ宿泊・夜間騒音リスク・管理体制要強化。
契約前に確認するポイント
-
建築・用途確認:建物の用途地域・用途変更の可否を市役所・建築確認で確認し、宿泊(旅館業・簡易宿所)を行ってよい物件か確かめましょう。
-
旅館業/簡易宿所許可の取得可能性と条件:このエリアで実績がある許可形態(簡易宿所・旅館業)か確認。例えば、許可施設一覧に東山区内の宿泊施設が掲載されているので、取得実績ありのエリア。 京都市民泊ポータル+1
-
契約条件詳細:再契約相談可能となっているが、契約期間・修繕負担・早期解約条件・用途制限などを必ず書面で確認。
-
設備・内装状態のチェック:築38年なので、給排水・電気・エアコン・防音・バリアフリー・耐震補強などを点検し、改修費用を予算に入れましょう。
-
アクセス・集客力の実態:祇園四条・東山エリアという強みはあるが、徒歩10〜15分という距離をどうゲストに訴求するか、レビューや他物件の競合状況を調査。
-
運営コストの精査:大きな面積ゆえに、清掃・リネン交換・光熱・備品補充などのランニングコストが高めです。月次・年間の支出予測を早めに立てておきましょう。
-
近隣住民・騒音対策:観光客向け宿泊施設の特性上、近隣の町家や住宅との調和が重要です。チェックイン時間制限・宿泊人数制限・騒音監視などの運営ルールを設計しておくべきです。
周辺地域の平均稼働率
京都市東山区・祇園・清水寺方面の一棟貸し町家型宿泊施設は、観光需要の回復とともに稼働率が上昇傾向です。許可済宿泊施設一覧にも多数掲載されています。 京都市民泊ポータル+1
ただし、「一棟貸し」「広さ」「宿泊定員が多い」など条件が特殊な物件では、稼働率60〜70%程度を保守的な想定値とする方が安全です。都市中心部の小規模ユニット物件が80%超というデータもありますが、固定家賃が高額な本物件では、稼働率確保が鍵となります。
よって、想定稼働率を 60% として収支を算出します。
運営した場合の想定年間利益
前提条件
-
宿泊単価(1泊あたり):30,000円(294㎡/5LDK相当・グループ向け・プレミア価格と仮定)
-
年間稼働日数:365日 × 稼働率60% = 約219泊/年
-
年間売上:30,000円 × 219泊 = 6,570,000円(約657万円)
支出
-
年間家賃:900,000円 × 12ヶ月 = 10,800,000円(約1,080万円)
-
管理費・その他(仮定月額10万円)=10万円 × 12 =120万円
-
光熱費・清掃費・リネン代・備品更新等(広さ・定員数を踏まえ仮定月額30万円)=30万円 ×12 =360万円
-
年間支出合計:10,800,000円 + 1,200,000円 + 3,600,000円 = 15,600,000円(約1,560万円)
年間利益(概算)
-
売上 6,570,000円 − 支出 15,600,000円 = ▲9,030,000円(約▲903万円の赤字)
この試算では、宿泊単価を30,000円にかなり高めに設定して稼働率60%でも年間で約900万円の赤字となる見込みです。固定家賃・運営コストの規模が大きいため、単価や稼働率を更に大きく上げる、また支出を抑える戦略がないと収益化は非常に難しいと言えます。
想定利益が低い場合の改善アイデア
-
宿泊単価の更なる引き上げ:例えば単価を40,000~50,000円/泊に設定する。例えば40,000円 × 219泊=約8,760,000円売上。
-
稼働率アップ:稼働率を70〜80%に引き上げる。例えば稼働率70%=255泊。30,000円×255泊=約7,650,000円。
-
営業日数制限なしを確保:旅館業許可を取得し、365日運用可能体制を整えることで「営業日数」のロスをなくす。
-
支出削減:清掃・リネンコストを効率化、在宅化・スマートチェックイン導入、設備省エネ化など。
-
長期・多用途活用:宿泊だけでなく、撮影・リトリート・イベント会場貸しなど多用途化を図る。
-
ターゲット絞り込み&付加価値創出:ラグジュアリーグループ向け・町家宿泊体験・京都らしい滞在プラン提供でブランド化し、プレミア単価を狙う。
-
交渉による家賃見直し:固定の家賃負担が重いため、貸主と契約期間・条件を交渉し、家賃減額や運営開始後の条件緩和を模索。
まとめ
この京都・東山区の一棟貸し物件は「広さ」「観光立地」「民泊想定の契約表記」という面で魅力がありますが、実際には月90万円という家賃・築38年鉄筋造・運営コストの大きさ・用途の確認必要性というハードルも極めて高い物件です。収支試算では条件を甘く見ても大きな赤字となる可能性が高く、契約前には設備状態・許可取得可否・アクセス・集客戦略・運営コストなどを徹底的に確認すべきです。運営成功には「単価アップ・稼働率向上・支出削減・家賃交渉」の4点が特に重要で、ただ“観光地だから勝てる”という甘い見込みで進めるのは危険です。もしこの物件に興味をお持ちであれば、これらのリスクと可能性を両方把握した上で、慎重に検討を進めてください。
