物件情報と民泊適正評価
■評価のポイント
この物件は、固定費・初期投資の安さという点で、地方民泊物件として最高レベルの条件が揃っています。
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良い点:
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初期費用無料: 敷金礼金だけでなく、初期費用全体を大家さんが負担する可能性があり、事業開始のハードルが極めて低い(「家賃が高すぎる場合は利益が出にくい」というリスクは皆無)。
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固定費が安い: 6DK(117m$^2$)の広さで月額5.5万円(賃料+管理費)は破格であり、赤字リスクが低い。
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事業への理解: 民泊、DIY、ペット多頭飼いが全て許可されており、独自性の高い施設づくりが可能です。
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悪い点:
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立地: 赤穂郡上郡町は主要な観光地ではないため、集客が難しい。週末の観光客だけでは採算が合わない可能性が高い。
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築年数: 築49年と古く、リフォーム中とはいえ、水回りや断熱性能が低いなど、宿泊客の満足度に直結する品質リスクがある。
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契約前に確認するポイント
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「初期費用無料」の明確な範囲: 契約書にサインする前に、賃料だけでなく、火災保険料、保証会社利用料、鍵交換費用など、初期費用に含まれる全ての項目について大家さんがどこまで負担するのかを明確に確認し、書面で取り決めましょう。
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リフォームの現状とDIYの自由度: 現在リフォーム中とのことですが、**水回り(風呂・トイレ)**がどこまで修繕されるかを確認しましょう。また、DIYでどこまで壁を撤去したり、設備を増設したりできるか(特にサウナなど付加価値をつける場合)を、大家さんと直接相談しておくべきです。
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民泊許可の行政手続き: 地方自治体(上郡町)での民泊事業の届出が、住宅宿泊事業法(180日上限)または旅館業法に基づくものになるかを確認し、オーナーの協力を得て、行政手続きを確実に進める必要があります。
周辺地域の想定稼働率と想定年間利益
上郡町周辺は観光地というよりも通過点や温泉地の宿泊需要が主です。地方の郊外型戸建の稼働率目安と、6DKという広さを活かした高単価設定でシミュレーションを行います。
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現実的な年間平均稼働率: 40%(年間約146日稼働)
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平均宿泊単価(設定): 25,000円/泊(大人数・一棟貸しとして中価格帯)
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月間固定費: 48,000円 + 7,000円 = 55,000円
この前提で収益をシミュレーションします。
【結論】 初期投資がほぼゼロで、年間162万円の利益が見込めるこの物件は、非常に優れた民泊物件のポテンシャルを持っています。この利益を確定させるためには、40%以上の稼働率を安定して維持するための集客戦略が鍵となります。
想定利益を改善するためのアイデア:ターゲット特化戦略
この好条件を最大限に活かすため、地域の特性と物件の自由度の高さを組み合わせた、ニッチなターゲットに特化した戦略が必要です。
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「ペット連れ長期滞在」特化: 「ペット多頭飼育可・大型犬可」は、近隣のホテルや旅館では実現が難しい最大の強みです。**ペットと過ごすための庭の整備(DIY)**や、ペット用アメニティを充実させ、**長期滞在割引(ウィークリー・マンスリー)**を提供することで、安定した稼働率を確保します。
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ビジネス・工事関係者向けの供給: 赤穂郡周辺の工業地帯や工事現場の長期出張者をターゲットに、6DKの部屋を複数人で利用できる**「格安ビジネス・ハウス」**として売り出します。民泊とは別に、賃貸やマンスリー賃貸として提供することで、閑散期の収入を支えます。
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DIY体験型宿泊施設: 大家さんの許可を得て、古民家風の内装DIYを宿泊客に体験させるなど、「作業部屋」や「制作スタジオ」としての価値を付加し、クリエイターやワークショップ開催者をターゲットに単価を上げます。この戦略は、DIY可能な物件でしかできない、最高の差別化要素となります。