物件情報と民泊適正評価
■評価のポイント
この物件の評価は「格安の4LDK」と「不便な立地」のトレードオフで決まります。
-
良い点: 4LDK(59.5m$^2$)という間取りを賃料13万円で借りられるのは、都内としては破格の安さです。これにより、複数人での利用を前提とした宿泊単価を設定しやすくなります。また、リノベーション済みで内装がきれいである可能性が高い点も魅力です。
-
悪い点: 最寄駅徒歩17分は、観光客や出張者にとって大きなハンデです。大田区は羽田空港に近いものの、この場所は駅からも空港からも遠く、立地が不便な場合は集客が難しいリスクを抱えます。また、築54年という古さから、予期せぬ設備の故障リスクも無視できません。
契約前に確認するポイント
-
民泊許可の具体的な条件: 「民泊相談可能」は運営許可を保証するものではありません。大田区は民泊特区ではないため、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく年間180日以内の運営になるか、もしくは特区民泊(要件が厳しい)の適用が可能かを、オーナーおよび行政に事前に確認する必要があります。
-
水道代とその他の固定費: 備考に「水道代 2,000円/月」「24時間サポート 2,750円/月」と固定費の記載があります。水道代が定額制である場合、人数が増える民泊運営ではリスクになります。オーナーに定額料金の対象範囲を明確に確認しましょう。
-
設備保証と修繕責任: 築54年ということを考慮し、エアコンや給湯器などの主要設備が故障した場合の修繕費用を誰が負担するかについて、契約書で明確に定めるべきです。
周辺地域の平均稼働率と想定年間利益
大田区は羽田空港に近いエリアですが、この物件は駅から離れた住宅地に位置します。都内平均(約70%)より低く、立地の悪さを反映した現実的な稼働率を設定します。
-
現実的な年間平均稼働率: 55%(年間約201日稼働)
-
平均宿泊単価(仮設定): 15,000円/泊(4LDKとして中〜低価格帯で集客を狙う)
-
月間固定費合計: 賃料13万円 + 水道代2,000円 + サポート代2,750円 ≈ 134,750円
この前提で収益をシミュレーションすると、以下の結果になります。
【結論】 家賃が高すぎるわけではありませんが、立地の不便さによる稼働率の低さ(55%)から、想定年間利益は約68万円と、事業としては十分な利益が出にくい水準です。利益率を上げるには、稼働率を上げるか、宿泊単価を上げるための工夫が必要です。
想定利益を改善するためのアイデア
この物件で安定した収益を確保するためには、不便な立地という欠点を上回るメリットを打ち出す必要があります。
-
長期滞在のターゲット設定: 都内で格安の4LDKは希少です。外国人留学生や企業の出張者、近隣の工場や建設現場の**長期滞在者(ウィークリー・マンスリー)**にターゲットを絞ることで、稼働率を70%以上に安定させ、清掃コストを削減できます。
-
差別化のためのテーマ設定: 駅遠物件のため、近隣の競合(駅近物件)と価格で勝負するのではなく、物件の個性で勝負しましょう。例として、4部屋ある利点を活かして「ボードゲーム特化の宿」や「リモートワーク用大型デスク完備のワーケーション宿」など、ニッチな趣味や用途に特化し、集客力を高めます。
-
運営コストの徹底的な削減: 利益率が低い物件なので、運営コストを限界まで削る必要があります。清掃を自分で行うセルフクリーニングシステムを導入したり、オーナーと交渉して保証会社の利用料(月額賃料の1.5%)を下げられないか交渉したりするなど、月々の支出を減らす工夫が重要です。