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【東京・渋谷区】初台駅徒歩12分!14.5万円の築62年「貸店舗・事務所」で民泊は儲かるか?都心超築古物件のリアルを辛口診断!

物件情報

 

以下は今回診断する物件の概要です。

  • 物件名: 東京都渋谷区本町6丁目 初台駅 貸店舗・事務所

  • 掲載元: OCN不動産

  • 住所: 東京都渋谷区本町6丁目

  • 最寄り駅: 京王線 初台駅 徒歩12分、都営大江戸線 西新宿五丁目駅 徒歩12分、京王線 幡ヶ谷駅 徒歩15分

  • 賃料: 145,000円

  • 管理費等: - (なしと仮定)

  • 敷金/礼金: 2ヶ月 (29万円) / 2ヶ月 (29万円)

  • 保証金/敷引・償却金: なし / 2ヶ月 (29万円)

  • 使用部分面積: 22.35㎡(約6.7坪)

  • 種別・構造: 貸店舗・事務所・木造1階/2階建 (募集は1階部分と推測)

  • 築年月(築年数): 1962年12月 (築62年8ヶ月)

  • 特記事項:

    • 民泊・旅館業可。(要リフォーム)

    • 2Fは別法人が旅館業運営中。

    • 駐車場付き(無料、空無と記載もあり、要確認)

    • 定期借家 契約期間3年

    • 現況空、即時引渡可能

  • 初期費用: 敷金2ヶ月、礼金2ヶ月、敷引2ヶ月、初回保証料など

  • 契約期間: 定期借家3年

詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細


 

民泊適正評価:許可済みの安心感と、築62年の厳しい現実

 

 

この物件の民泊適正は「都心の一等地で民泊許可物件を探す、かなりの上級者向け。改装と運営のコスト、そして2階からの影響を考慮できるプロ向き」と評価します。民泊許可のハードルが低い点は魅力ですが、それ以外の要素が厳しさを増します。

 

【メリットとして期待できる点】

  • 「民泊・旅館業可」という最大の強み: 都心での民泊許可物件は非常に希少です。この点は大きなアドバンテージとなります。旅館業許可を目指せるのであれば、年間180日制限に縛られず通年運営が可能です。

  • 渋谷区本町の好立地: 初台・幡ヶ谷・西新宿五丁目と複数駅利用可能で、新宿エリアへのアクセスが良好です。観光だけでなくビジネス目的の滞在にも対応できます。

  • 2階に既存の旅館業者がいる環境: 既に2階で旅館業が運営されているということは、建物自体が旅館業の基準を満たしやすい可能性があり、また近隣住民への理解もある程度得られている可能性が高いです。

  • 比較的安価な賃料: 渋谷区という立地で14.5万円という賃料は、面積を考慮しても比較的抑えられています。

  • 駐車場付き(無料): 都心で無料駐車場があるのは非常に希少価値が高く、特定の層にアピールできます(ただし「空無」との記載もあり、要確認)。

【致命的な欠点】築62年の「要リフォーム」と2階旅館業の影響 一見のメリットを大きく上回る、深刻な懸念点が存在します。

  • 築62年の木造建築と「要リフォーム」の真意:

    • 莫大な改装費用: 「貸店舗・事務所」を民泊として機能させるためには、水回り(浴室、トイレ、キッチン)の増設・改修が必須です。築62年の木造建築では、配管、電気配線、屋根、床下、耐震性など、構造自体に大規模な修繕が必要となる可能性が極めて高く、数百万円どころか1000万円を超える初期投資がほぼ確実にかかります。写真がないため、内装の状態は全く不明であり、費用は青天井になるリスクがあります。

    • 耐震性の問題: 築62年の木造建築は、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高いです。大規模な耐震補強工事が必須となるでしょう。地震の多い日本において、ゲストの安全確保は最優先事項です。

    • 断熱性・遮音性の問題: 木造であり、築年数も古いため、断熱性や遮音性が低い可能性があります。快適な滞在を提供するためには、これらの対策にも追加費用が発生します。

  • 2階の旅館業運営の影響:

    • 騒音問題: 2階の旅館業のゲストの出入りや話し声、スーツケースの音などが1階に響く可能性があります。宿泊施設同士であるため、トラブルに発展しやすいリスクを抱えています。

    • 共用部の清掃・管理: 共有スペースがある場合、清掃や管理の基準が異なることでトラブルになる可能性もあります。

    • 集客の競合: 同じ建物内で同業者がいるため、ゲストの奪い合いになる可能性も否定できません。

  • 定期借家3年という短期間: 莫大な初期投資を回収するには非常に短く、更新できないリスクや、更新時の条件変更(賃料アップなど)のリスクも考慮すると、事業計画の不確実性が高まります。

  • 小規模な面積(22.35㎡): この広さでは、提供できるベッド数や設備に限界があり、稼働率を上げても単価をどこまで高められるかという課題があります。ファミリー層やグループでの利用は難しいでしょう。


 

契約前に確認するポイント

 

 

この物件で民泊運営に踏み切るなら、以下の点を徹底的にクリアにしてください。

  1. 「要リフォーム」の具体的な内容と費用見積もり:

    • 必ず内覧を行い、建物の構造、水回り、電気配線などの現状を専門家(工務店、建築士)を帯同して徹底的にチェックする。

    • 民泊として必要な浴室、トイレ、ミニキッチン、寝室の設置・改修、耐震補強、断熱工事など、全ての改修費用を複数社から見積もりを取り、全て借主負担であることを覚悟する。

    • 旅館業許可を目指す場合、より厳しい設備基準を満たすための費用も把握する。

  2. 2階の旅館業運営状況の詳細:

    • 2階の旅館業者の営業時間、ゲスト層、騒音レベルなどを管理会社や貸主を通じて詳しく確認する。 可能であれば、夜間にも現地を訪問し、音の響き具合を体感する。

    • 共有スペースの管理ルールや、緊急時の連携体制についても確認する。

  3. 定期借家契約の詳細と更新の可能性:

    • 3年契約終了後の更新の有無、更新料、更新時の賃料改定など、契約更新に関する条件を貸主と明確に確認し、書面に残す。

  4. 旅館業許可取得の実現可能性と費用・期間:

    • 所管の保健所や行政書士に相談し、この物件で旅館業法の許可が取得可能か、そのために必要な改装・設備投資、申請にかかる期間と費用を具体的に確認する。

    • 旅館業許可が取得できない場合、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく年間180日制限での運営となるため、収益シミュレーションに大きな影響が出ます。

  5. 消防法・建築基準法への適合:

    • 管轄の消防署や建築指導課に相談し、必要な設備(自動火災報知設備、消火器、誘導灯など)とその費用、必要な工事を確認する。築古の木造であるため、基準が厳しくなる可能性があります。

  6. 駐車場の詳細: 「駐車場付き(無料)」と「駐車場:空無 無料」という記載が矛盾しているため、具体的な利用可否と台数を必ず確認する。


 

周辺地域の平均稼働率

 

 

渋谷区本町周辺は、新宿に近くビジネス需要も観光需要も高いエリアです。都心の民泊稼働率は非常に高く、80%〜90%以上を維持している施設も少なくありません。しかし、その分競争も激しく、22.35㎡という小規模な空間で、どのように差別化し、高い単価を維持しながら高稼働率を実現するかが課題です。

 

 

運営した場合の想定年間利益(極めて悲観的なシナリオ)

 

賃料は比較的抑えられているものの、莫大な改装費用(特に築古物件での水回り・構造改修)と、2階からの影響を考えると、収益を出すのは極めて困難であり、赤字のリスクが非常に高いです。

  • 月額賃料: 145,000円

  • 年間賃料: 145,000円 × 12ヶ月 = 1,740,000円

  • 初期費用:

    • 敷金2ヶ月(29万円) + 礼金2ヶ月(29万円) + 敷引2ヶ月(29万円) + 初回保証料(賃料の50%として7.25万円)+ 仲介手数料1ヶ月(14.5万円) + 保険(約2万円) = 約110.75万円

    • 改装費用+家具家電備品+旅館業許可関連費用: 築62年の店舗・事務所を民泊施設に改修し、質の高い家具・家電・リネン類を揃える費用は、最低でも500万円〜1000万円以上と見積もるべきです。特に耐震補強や水回り増設は高額になります。

    • 合計初期現金支出(概算): 110.75万 + 500万 = 約610.75万円〜(これに加えて1ヶ月目の家賃)

  • 平均宿泊単価: 小規模物件だが都心立地を考慮し、1泊1組18,000円(この単価で高稼働を維持できるかが鍵)

  • 年間営業可能日数: 365日(旅館業許可取得を前提とした場合)

  • 想定稼働率: 75%(都心立地での目標値だが、小規模・築古でどこまで高められるか)

  • 年間想定稼働日数: 365日 × 0.75 = 274日

  • 年間想定売上: 18,000円 × 274日 = 4,932,000円

ここから諸経費を差し引きます。

  • プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 493,200円

  • 清掃費・消耗品費: (1回4,000円として、274回分) = 1,096,000円

  • 光熱費・通信費: (月2万円と仮定) = 240,000円

  • 修繕積立費・管理費・その他雑費: (築古リスク考慮し、月1.5万円と仮定) = 180,000円

  • 運営代行費(アウトソースする場合): 売上の20-30% = 986,400円〜1,479,600円 (ここでは自力運営と仮定し含まず)

  • 年間総費用(賃料含む): 1,740,000円 (賃料) + 493,200円 (手数料) + 1,096,000円 (清掃) + 240,000円 (光熱費) + 180,000円 (その他) = 3,749,200円

  • 想定年間利益(税・初期費用回収前): 4,932,000円 (売上) - 3,749,200円 (総費用) = 1,182,800円

この計算では、年間で約118万円の黒字となりました。しかし、これは非常に高い稼働率と単価を維持できた場合であり、初期投資(500万円以上)を回収するには5年以上かかる計算になります。定期借家3年という期間を考えると、投資回収が非常にタイトであることに加え、少しでも稼働率や単価が落ちれば、瞬く間に赤字に転落する非常にリスクの高い物件です。


 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア(この物件での挑戦は茨の道)

 

 

上記の通り、この物件で民泊として安定的な利益を出すことは困難であり、一般的な感覚では「見送るべき」です。それでも挑戦したいというのであれば、超ニッチなターゲット設定と徹底したコスト管理が必須です。

  1. 「究極の省スペース体験」への特化:

    • カプセルホテル型・ドミトリー型: 22㎡という限られたスペースで、いかに多くのゲストを収容し、単価を上げられるかを追求する。ただし、旅館業法の許可基準が厳しくなる可能性も。

    • ビジネス・短期出張者向け特化: 寝るだけに特化し、シンプルで機能的な内装にする。共用オフィススペースやカフェを併設するなどの差別化を検討する(ただし、別途賃貸契約が必要)。

    • 「隠れ家」コンセプト: 渋谷区の静かな住宅街にある「知る人ぞ知る隠れ家」として、プライベート感を重視するゲストに訴求する。

  2. 徹底的なコスト管理と運営の効率化:

    • DIYの活用: 可能な範囲で内装工事をDIYで行い、初期費用を極限まで抑える。ただし、専門的な工事はプロに任せること。

    • 清掃の効率化: 小型物件なので、清掃を自力で行う、または短時間で完了できるシステムを構築する。

    • 無人運営システム: チェックイン/アウトはスマートロックなどで完全に無人化し、人件費を最小限に抑える。

  3. 2階との共存戦略:

    • 2階の旅館業者と協力関係を築き、相互送客や共同プロモーションを検討する。例えば、2階が満室の際に1階を紹介してもらう、共同でイベントを開催するなど。

この物件は、都心の民泊許可物件という魅力がある一方で、築62年という歴史がもたらす改装の困難さと費用、そして2階の旅館業との共存という特殊な条件を抱えています。賃料は「比較的」安いですが、その背景にある「見えないコスト」は非常に大きいです。

あなたは、この物件がもたらす「都心の民泊許可物件」という夢と「超築古物件の改装と運営」という現実の間で、ビジネスを成功させるための「覚悟と戦略」を持っていますか?