物件情報
以下は今回診断する物件の概要です。
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物件名: 京都府京都市伏見区向島下五反田 淀駅 貸その他
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掲載元: OCN不動産
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住所: 京都府京都市伏見区向島下五反田
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最寄り駅: 京阪電鉄本線 淀駅 徒歩4.3km、近鉄京都線 向島駅 徒歩45分
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賃料: 440,000円
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管理費等: 11,000円
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敷金/礼金: 1ヶ月 (44万円) / 1ヶ月 (44万円)
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保証金/敷引・償却金: なし / -
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使用部分面積: 292.77㎡(約88.5坪)
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種別・構造: 貸その他・木造2階建(1棟貸し)
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建物名: 誠明館
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築年月(築年数): 2005年3月 (築20年5ヶ月)
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特記事項:
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レトロな洋館1棟貸です(*^^*)
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現在民泊運営中!各種ご業種ご相談ください★
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外観がおしゃれで内装に螺旋階段などの特徴あり
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エアコン・バス・トイレ別・トイレ・都市ガス・駐輪場・バイク置き場あり
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定期借家 契約期間5年
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現況居住中、引渡可能時期2025年12月上旬
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初期費用: 敷金1ヶ月、礼金1ヶ月、初回保証料など
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契約期間: 定期借家5年
詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細
民泊適正評価:唯一無二の「デザイン性」と「稼働実績」が「駅遠」の壁を打ち破るか?
この物件の民泊適正は「超富裕層や特別な体験を求める層をターゲットに、圧倒的な付加価値を提供できる、非常に高いレベルの民泊運営者向け」と評価します。他に類を見ない魅力を持つ一方で、立地の課題をどう克服するかが問われます。
【圧倒的なメリット】デザイン性、1棟貸し、そして実績
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「レトロな洋館1棟貸し」と「螺旋階段」が織りなす極上の非日常空間:
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外観の美しさと、内装の螺旋階段は、まさにインスタ映えする唯一無二の空間。通常のホテルや民泊では味わえない、特別な滞在体験を提供できます。これは高単価設定とSNSでの拡散に直結する、最大の強みです。
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1棟貸しであるため、大人数での利用や、プライバシーを重視する富裕層に最適。貸切ならではの贅沢な時間を演出できます。
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「現在民泊運営中」という大きな安心感と事業引継ぎの可能性:
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既に民泊としての許可を取得し運営されているため、新規での許可取得にかかる時間、費用、不確実性が大幅に削減されます。これは、通常数ヶ月から年単位かかるプロセスをスキップできることを意味します。
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過去の稼働実績やゲストからのレビューがある場合、それを参考に事業計画を練ることができ、開業後の集客リスクを低減できます。
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運営ノウハウや顧客リスト、既存の予約サイトアカウントなどを引き継げる可能性があれば、即座に事業をスタートできるでしょう。
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広大な面積(約88.5坪)と充実した既存設備:
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複数の寝室、広いリビング、キッチンダイニングなど、充実した設備を提供でき、大人数のグループや複数家族での利用に最適です。
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「エアコン・バス・トイレ別・トイレ・都市ガス」など、居住に必要な設備が揃っているため、大規模な改装費用を抑えつつ、上質な空間を創出できる可能性があります。
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築20年5ヶ月と比較的新しい:
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築古物件に比べて、構造上の大きな問題や大規模な修繕の必要性が低いと予想されます。耐震性も安心です。
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【致命的な欠点】駅からの「徒歩4.3km」という絶望的な距離 どれだけ魅力的な物件であっても、この弱点は軽視できません。
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アクセスが極めて困難:
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最寄り駅まで徒歩4.3km、徒歩45分という距離は、一般的な旅行者にとって現実的な移動手段ではありません。 事実上、駅から歩いてアクセスすることは不可能であり、バス、タクシー、自家用車、または送迎サービスの利用が必須となります。
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京都の主要観光地(清水寺、嵐山、祇園など)への移動には、多大な時間と交通費がかかります。この点をゲストにどう補償し、満足度を維持するかが最大の課題です。
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高額な賃料(月44万円)と管理費1.1万円:
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この立地と交通の便の悪さを考えると、月44万円(管理費込み45.1万円)という賃料は非常に高額です。これを回収するためには、超高稼働率かつ超高単価を維持し続ける必要があり、相当な集客力と運営戦略、そしてゲストへの圧倒的な価値提供が求められます。
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定期借家5年という期間:
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高額な初期投資と、駅遠物件での集客戦略を確立し、回収するにはやや短い期間です。契約終了後の更新が保証されないリスクも考慮すると、事業計画の不確実性が高まります。
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「現況居住中」「引渡可能時期2025年12月上旬」:
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即時運営開始は不可能であり、物件引き渡しまでの期間も賃料が発生しないかは確認が必要です。また、引き渡し時期が年末であるため、年末年始の繁忙期に間に合わせるための準備期間がタイトになる可能性があります。
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契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営に踏み切るなら、以下の点を徹底的にクリアにしてください。
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現在の民泊運営の詳細と、事業の完璧な引継ぎ:
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最重要事項です。 現在の運営者から、以下の情報をできる限り引き出すとともに、事業の円滑な引継ぎを契約に含めること。
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取得している旅館業許可の種類(簡易宿所など)と、その許認可の引き継ぎ可否。 これが最も重要です。
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過去の稼働率、平均単価、年間売上、主な客層、予約経路。
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ゲストの交通手段(シャトルバス、タクシー、自家用車利用の割合、利用頻度など)と、それに伴うコスト。
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過去のゲストレビュー、予約サイトの評価、写真など、ブランドイメージに影響する情報。
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運営を終了する明確な理由。
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運営ノウハウや顧客情報、既存の予約サイトアカウントなどをそのまま引き継げるかどうか。
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交通アクセスの「解決策」とそのコストの徹底調査:
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最寄り駅からのバスの運行ルート、頻度、最終便の時間、バス停からの距離を詳細に確認する。
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シャトルサービスを導入する場合の費用(車両購入費、維持費、人件費)。
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タクシーを頻繁に利用された場合のゲストの負担額。
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敷地内の駐車スペースの台数と、周辺の駐車場情報。自家用車で来るゲストをメインターゲットにする場合、駐車場は必須です。
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「レトロな洋館」の内装・設備の現状と、高級路線に必要な改装費用:
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**必ず内覧を行い、宿泊施設として十分な設備が揃っているか、さらなる高級化に必要な改装箇所はないかを徹底的に確認する。**特に水回り(バスルームの数と質、キッチンの設備)、冷暖房設備、インターネット環境、寝具、家具家電の品質などを確認する。
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螺旋階段や外観など、特徴的なデザイン性をさらに引き出すための照明や調度品の追加費用を見積もる。
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定期借家契約の詳細と更新の可能性:
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5年契約終了後の更新の有無、更新料、更新時の賃料改定など、契約更新に関する条件を貸主と明確に確認し、書面に残す。5年で高額な初期投資と事業を軌道に乗せる計画を立てる必要があります。
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引き渡し時期の正確な確認と、その間の賃料発生の有無:
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「2025年12月上旬」という引き渡し時期が確定か、遅れる可能性はないかを確認する。
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契約締結から引き渡しまでの期間の賃料負担について明確にする。
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周辺地域の平均稼働率
京都市は年間を通じて国内外から多くの観光客が訪れる、日本屈指の観光都市です。特に1棟貸しの高級物件は需要が高く、中心部の稼働率は非常に高いです。しかし、この物件は駅から極めて離れた郊外型です。 「現在民泊運営中」であることから、既存の運営実績が最も信頼できるデータとなりますが、一般的にこの立地での稼働率は、駅からの送迎サービスや、車でのアクセス、圧倒的なコンセプトなどがなければ、京都市中心部の高稼働率を維持するのは困難です。ターゲット層を絞り、それに応じた徹底的なサービスを提供することで、稼働率60%〜80%程度を目指せる可能性はあるでしょう。
運営した場合の想定年間利益(非常に挑戦的なシナリオ)
駅遠という致命的な立地に対し、高額な賃料を考慮すると、安定した利益を出すのは極めて困難であり、赤字のリスクが非常に高いです。ただし、螺旋階段や洋館という唯一無二の魅力を活かし、高単価を維持できれば、そのリスクは軽減されます。
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月額賃料: 440,000円
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管理費: 11,000円
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年間賃料等: (440,000円 + 11,000円) × 12ヶ月 = 5,412,000円
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初期費用:
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敷金1ヶ月(44万円) + 礼金1ヶ月(44万円) + 初回保証料(賃料の50%として22万円) = 約110万円
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改装費用+家具家電備品: 「現在民泊運営中」のため、大規模な内装工事は不要な可能性が高いですが、超高級路線を狙うなら、質の高い寝具、家具、家電、アメニティ、そして内装に合わせた美術品や調度品への投資が必要です。さらに、シャトル車両の購入費用や、ウェブサイトの構築、プロモーション費用なども含め、最低でも300万円〜800万円程度は見積もるべきです。
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合計初期現金支出(概算): 110万 + 300万 = 約410万円〜(これに加えて1ヶ月目の家賃等)
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平均宿泊単価: 1棟貸しの広さ、洋館のコンセプト、そして提供するサービス(送迎含む)を活かし、1泊1組80,000円〜120,000円(超高級路線の目標単価)。ここでは間を取って100,000円と仮定します。
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年間営業可能日数: 365日(旅館業許可取得を前提とした場合)
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想定稼働率: 65%(超高級路線での目標値。送迎サービス等でカバー)
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年間想定稼働日数: 365日 × 0.65 = 237日
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年間想定売上: 100,000円 × 237日 = 23,700,000円
ここから諸経費を差し引きます。
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プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 2,370,000円
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清掃費・消耗品費: (1回20,000円として、237回分、高級物件は清掃費が高い) = 4,740,000円
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光熱費・通信費: (広さがあるため、月10万円と仮定) = 1,200,000円
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修繕積立費・その他雑費: (築20年、1棟貸しのため、月5万円と仮定) = 600,000円
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送迎費用(人件費・ガソリン代・車両維持費など): (月15万円と仮定) = 1,800,000円
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運営代行費(アウトソースする場合): 売上の20-30% = 4,740,000円〜7,110,000円 (ここでは自力運営と仮定し含まず)
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年間総費用(賃料含む): 5,412,000円 (賃料等) + 2,370,000円 (手数料) + 4,740,000円 (清掃) + 1,200,000円 (光熱費) + 600,000円 (その他) + 1,800,000円 (送迎) = 16,122,000円
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想定年間利益(税・初期費用回収前): 23,700,000円 (売上) - 16,122,000円 (総費用) = 7,578,000円
この計算では、年間で約757万円の黒字となりました。これは、超高級路線での高単価・高稼働率を維持できた場合のシナリオです。初期投資(410万円〜)を回収するには、半年〜1年程度で可能という、非常に魅力的な結果となりました。しかし、このシミュレーションは、徹底した送迎サービス、圧倒的な顧客体験、そして高単価・高稼働率を実現するための強力な集客戦略が前提です。少しでもこれらの要素が崩れれば、利益は大きく減少します。
想定利益を増やすためのアイデア(「駅遠」を逆手に取る戦略が必須)
この物件は、そのデザイン性から高単価設定が可能であり、それを維持するための戦略が重要です。
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「唯一無二の体験」を極めるコンセプトとサービス:
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ターゲットを明確化: 超富裕層、ハネムーンや記念日旅行のカップル、複数家族での特別な滞在、エグゼクティブのオフサイトミーティングなど、限定された高単価ゲストに特化する。
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徹底したパーソナルサービス: 専属コンシェルジュによる旅程アレンジ、シェフによるケータリングサービス、京都の伝統文化体験(茶道、華道、着物着付けなど)のプライベート手配など、超高級ホテルを超える体験を提供する。
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美しい空間を最大限に活用: 螺旋階段や庭園など、洋館ならではの空間を活かした写真撮影サービスや、プライベートパーティーの提案など。
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交通手段を「サービスの一部」として提供:
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最上級の送迎サービス: 新幹線駅や空港からの専用送迎、観光地への送迎を無料または有料で提供し、ゲストに移動の不便さを一切感じさせない。送迎車両も高級感を意識する。
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専用レンタカー手配: 自家用車で京都を巡りたいゲストのために、事前予約でハイヤーや高級レンタカーを手配するサービス。
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SNSと海外富裕層向けマーケティングの強化:
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物件の螺旋階段や洋館の魅力を最大限に引き出すプロの撮影による写真・動画を制作し、Instagram、YouTube、PinterestなどのSNSで積極的に発信する。
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海外の富裕層向け旅行会社やコンシェルジュサービスと提携し、物件を紹介してもらう。
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高級旅行雑誌やインフルエンサーとのコラボレーションも検討する。
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滞在型リトリートとしての提案:
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数日〜数週間の長期滞在プランを設け、都会の喧騒から離れた静かな場所でゆったりと過ごしたい層、ワーケーション目的のビジネスパーソンにアピールする。
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この物件は、螺旋階段が特徴的なレトロ洋館という唯一無二の魅力と「現在民泊運営中」という実績により、京都の民泊市場において非常に大きな可能性を秘めています。しかし、駅からのアクセスという最大の弱点を、徹底した「高単価・高付加価値サービス」と「送迎」でどこまで克服できるかが、事業成功の鍵を握るでしょう。