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【東京・浅草】民泊相談可の一棟貸し!築43年で利益は出るのか?辛口診断

物件情報

 

 

この物件の詳細は以下の通りです。

  • 賃料: 25万円

  • 管理費・共益費: なし

  • 敷金/礼金: 敷金なし / 礼金25万円

  • 保証金: 150万円

  • 間取り: 4K (和6, 和6, 和6, 洋6)

  • 専有面積: 75.44m2

  • 建物種別: 一戸建て (一棟貸し、3階建、3方角住戸、四方角部屋)

  • 築年数: 築43年 (1983年1月築)

  • アクセス: つくばエクスプレス/浅草駅 徒歩12分

  • 所在地: 東京都台東区浅草5丁目

  • 設備: バストイレ別、ガスコンロ対応、クローゼット、洗面所独立、2面採光、最上階、振分、トイレ2ヶ所、都市ガスなど

  • 特記事項: 二人入居相談、子供可、事務所利用相談、ルームシェア相談、民泊相談可、定期借家6年、保証会社利用必須(初回総賃料の50%)

物件の詳細はこちらからご確認ください: 民泊相談可 浅草5丁目一棟貸し - (株)ユニカラ不動産が提供する賃貸物件情報

 

 

民泊適正評価

 

 

この物件は、東京を代表する観光地である浅草エリアの一棟貸しという点が最大の魅力です。4K、75.44m2という広さは、大人数のグループやファミリー層にとって十分なスペースを提供でき、複数人での宿泊による高い単価設定が期待できます。トイレが2ヶ所ある点も、大人数での利用には便利です。また、「民泊相談可」というオーナーの意向が明確であるため、民泊運営に向けた交渉がしやすいでしょう。一棟貸しであるため、他の入居者への配慮が少なくて済む点も、運営上のメリットと言えます。

 

しかし、この物件を民泊として運営する際には、甘くない現実がいくつか存在します。

まず、**「つくばエクスプレス浅草駅より徒歩12分」というアクセスは、浅草のメイン観光エリアや雷門周辺から見ると、決して近いとは言えません。特に、大きな荷物を持った観光客にとっては、この距離は負担になる可能性があります。また、「築43年」**という築年数は、古民家の趣きを求めるゲストには響くかもしれませんが、一方で設備や内装の老朽化による突発的な修繕費のリスク、冬場の寒さや断熱性能の低さなどが懸念されます。

 

そして、最も大きなハードルとなるのが、賃料25万円と保証金150万円という高額な初期費用と月々の固定費です。賃料は都心の一棟貸しとしては妥当な範囲かもしれませんが、保証金150万円(賃料の6ヶ月分)は、自己資金が潤沢でない限り重い負担となります。この高額な固定費を民泊の収益で賄うには、非常に高い稼働率と宿泊単価を常に維持し、かつ清掃費や光熱費などの変動費を徹底的に抑える必要があります。浅草エリアは民泊の競合が非常に多く、価格競争も激しいため、安定した収益確保は容易ではありません。

 

 

契約前に確認するポイント

 

 

「民泊相談可」の物件であるため、契約前に以下の点を徹底的に確認してください。

  • 「民泊相談可」の具体的な範囲と条件: 口頭での確認だけでなく、民泊運営に関する許可範囲(宿泊日数制限、騒音対策、ゴミ出しルール、外国人対応の具体的内容など)を書面で明確にしてもらいましょう。特に、一棟貸しとはいえ、近隣住民への説明や同意の有無も重要です。

  • 事業用としての契約: 賃貸契約が事業用となるのか、それに伴う消費税の有無や、将来的な税務処理について確認が必要です。

  • 初期投資の詳細: 築43年であるため、内装のリノベーション、家具家電の購入、消耗品、そして民泊運営に必要な各種申請費用(消防設備含む)など、開業までに発生する全ての費用を見積もり、資金計画を立てましょう。特に、水回り(バス・トイレ・キッチン)の状態や、断熱・耐震性なども含め、専門家による物件診断を検討すべきです。

  • 消防法への適合: 宿泊施設は消防法上の規制が厳しくなります。火災報知器、消火器、誘導灯の設置など、必要な消防設備とその費用を確認しましょう。古い建物の場合、既存の構造では対応が難しいケースや、大規模な改修が必要になることもあります。

  • 保証会社の利用条件: 「初回総賃料の50%」という保証料は高額です。民泊として加入可能か、どのような条件で適用されるか、詳細を確認しましょう。

  • 定期借家契約の更新条件: 契約期間が6年と比較的長いですが、その後の再契約の可否、更新料、更新時の賃料改定などについて、事前にオーナーと話し合っておくべきです。

 

周辺地域の平均稼働率

 

 

浅草は東京を代表する観光地であり、国内外から多くの観光客が訪れます。都心部の民泊稼働率は一般的に60%〜80%程度を目指すことが可能です。一棟貸しで4Kという広さがあるため、グループ旅行者やファミリー層の需要を効率的に取り込めれば、高い稼働率を維持できる可能性は十分にあります。

 

しかし、浅草エリアは民泊施設が非常に多く、競争が激しい地域でもあります。特に、駅からの徒歩12分という距離は、駅直結や繁華街至近の競合物件に比べて集客面で若干不利になる可能性があります。築43年という築年数を、古民家体験というプラスに転換できるかが、稼働率を左右する重要なポイントになるでしょう。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

上記の稼働率の想定に基づき、この物件で民泊を運営した場合の想定年間利益を試算してみましょう。ここでは、比較的楽観的なシナリオと、厳しい現実を突きつける辛口シナリオの二つで試算します。

 

【前提条件】

  • 月額賃料: 25万円

  • 1泊あたりの宿泊単価: 一棟貸し、4K、浅草という立地を考慮し、1泊あたり40,000円と仮定します。(高単価設定)

  • 清掃費: 1回あたり12,000円と仮定(一棟貸しのため高め)

  • プラットフォーム手数料: 売上の15%と仮定

  • 光熱費・通信費など: 月額50,000円と仮定(一棟のため高め)

  • その他消耗品費: 月額10,000円と仮定

  • 民泊稼働上限: 年間180日(住宅宿泊事業法の場合)


シナリオ1:楽観的な稼働率(月間65%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間65%(年間180日稼働、民泊は年間180日上限)

    • : 民泊は年間180日稼働上限のため、このシナリオは稼働率が非常に高く、ほぼ上限まで稼働した場合の理想的なケースです。

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 40,000円/泊 × 180泊 = 7,200,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 25万円/月 × 12ヶ月 = 3,000,000円

    • 年間清掃費 = 12,000円/回 × 90回(180日の半分)= 1,080,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 7,200,000円 × 15% = 1,080,000円

    • 年間光熱費・通信費 = 50,000円/月 × 12ヶ月 = 600,000円

    • 年間消耗品費 = 10,000円/月 × 12ヶ月 = 120,000円

    • 年間費用合計 = 3,000,000円 + 1,080,000円 + 1,080,000円 + 600,000円 + 120,000円 = 5,880,000円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 7,200,000円 - 5,880,000円 = 1,320,000円


シナリオ2:辛口な稼働率(月間50%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間50%(年間150日稼働)

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 40,000円/泊 × 150泊 = 6,000,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 25万円/月 × 12ヶ月 = 3,000,000円

    • 年間清掃費 = 12,000円/回 × 75回(150日の半分)= 900,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 6,000,000円 × 15% = 900,000円

    • 年間光熱費・通信費 = 50,000円/月 × 12ヶ月 = 600,000円

    • 年間消耗品費 = 10,000円/月 × 12ヶ月 = 120,000円

    • 年間費用合計 = 3,000,000円 + 900,000円 + 900,000円 + 600,000円 + 120,000円 = 5,520,000円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 6,000,000円 - 5,520,000円 = 480,000円


この試算が示す通り、浅草という一級の立地でも、月額25万円という賃料の物件で安定した利益を出すには、高単価と高い稼働率の両立が不可欠です。楽観的な稼働率でも年間約132万円の利益ですが、これは初期の改修費や家具家電費を除いた運営費のみの計算です。辛口な稼働率では年間約48万円の利益となり、このレベルでは投資回収にかなりの時間がかかり、わずかな変動で赤字に転落するリスクも十分にあります。

 

 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア

 

 

この物件で民泊運営を行い、赤字を回避し、さらに利益を伸ばすためには、以下の戦略的なアプローチが不可欠です。

  1. 浅草ならではの「古民家体験」コンセプトの徹底:

    • 築43年という古さを逆手に取り、「Authentic Japanese Home Experience」といったコンセプトを打ち出す。和室の雰囲気を最大限に活かし、日本の伝統文化を体験できる空間づくりを徹底する。

    • 茶道セット、浴衣レンタル、座禅体験など、古民家ならではの付加価値を提供し、宿泊単価の向上を図る。

    • 地域のイベント(例:三社祭、隅田川花火大会など)との連携を強化し、イベント時の高単価宿泊需要を確実に捉える。

  2. ターゲット層の明確化と特化:

    • 欧米圏のファミリー/グループ層: 日本文化への関心が高い欧米からの観光客に特化し、多言語対応のガイドブックや周辺情報を提供する。

    • 長期滞在のインバウンド: 浅草のローカルな雰囲気を体験したい長期滞在者向けに、周辺の飲食店やスーパーの情報、交通機関の利用方法などをきめ細かく提供する。

    • リピーター戦略: 滞在後のアンケート実施や、リピーター向けの割引、特別なアメニティ提供などで、再訪を促す。

  3. 付加価値の提供と単価アップ:

    • パーソナルガイド/体験手配: 浅草観光や日本文化体験(人力車、着物レンタル、蕎麦打ち体験など)の手配サービスを提供し、顧客満足度と収益を向上させる。

    • 厳選されたアメニティ: 日本製の高品質なバスアメニティや、地元の食材を使ったウェルカムフードなど、細部にまでこだわり、高級感を演出する。

    • 写真映えする空間: SNSでの拡散を意識し、和の趣と現代的な快適さを融合させた内装デザインで、写真映えする空間を作り出す。

  4. 多角的な集客チャネルの活用:

    • Airbnbだけでなく、Booking.com、Agoda、Expediaなど、海外に強いOTA(オンライン旅行代理店)に幅広く掲載し、インバウンドの露出を最大化する。

    • InstagramやYouTubeなどで、物件の魅力や浅草の観光情報を積極的に発信し、視覚的に訴求する。

    • 旅行会社やインバウンド向けエージェントと連携し、団体客の取り込みや、ツアーの一部として組み込んでもらう。

  5. 運営効率の徹底的な改善:

    • スマートロック導入や、詳細なセルフチェックインガイド作成により、無人運営を基本とする。

    • 信頼できる清掃業者との連携を密にし、コストを抑えつつ高い清掃品質を維持する。

    • 光熱費や消耗品費など、固定費・変動費の細かなコスト削減を徹底する。

この物件は、浅草という素晴らしい立地と一棟貸しというメリットを持ちながらも、築年数の課題と高額な固定費という、都心民泊特有の厳しい現実が立ちはだかります。安易に「民泊可」という言葉に飛びつくのではなく、緻密な資金計画と、浅草エリアでの熾烈な競争に打ち勝つための強力な差別化戦略が不可欠です。果たして、この物件であなたは「宿泊事業成功」の夢を現実のものにできるでしょうか?