· 

【東京・北千住】民泊相談可!駅徒歩6分2LDK物件は本当に“儲かる”のか?辛口診断

物件情報

 

 

この物件の詳細は以下の通りです。

  • 賃料: 25万円

  • 管理費・共益費: なし

  • 敷金/礼金: 敷金25万円 / 礼金25万円

  • 間取り: 2LDK

  • 専有面積: 62.76m2

  • 建物種別: マンション(1フロア1住戸、最上階、メゾネット)

  • 築年数: 築51年 (1975年1月築)

  • アクセス: 東京メトロ千代田線/北千住駅 徒歩6分

  • 所在地: 東京都足立区千住東2

  • 設備: バストイレ別、バルコニー、クロゼット2ヶ所、脱衣所、2面採光、和室など

  • 特記事項: ルーフバルコニー付き、事務所相談、ルームシェア相談、二人入居可、子供可、民泊相談可、定期借家2年、保証会社利用必須(総賃料の100%)

物件の詳細はこちらからご確認ください: 民泊相談可 千住東2丁目ビル - (株)ユニカラ不動産が提供する賃貸物件情報

 

 

民泊適正評価

 

 

この物件の最大の魅力は、なんと言っても**「北千住駅徒歩6分」**という都心部での好立地です。北千住は複数路線が乗り入れるターミナル駅であり、都内主要駅へのアクセスも良好なため、国内外の観光客にとって非常に利便性が高いと言えます。2LDK、62.76m2という広さは、ファミリー層やグループ旅行者にとって十分なスペースを提供でき、複数人での宿泊による単価アップも期待できます。また、ルーフバルコニー付きという点は、都心では希少価値が高く、ゲストにとって魅力的な付加価値となります。1フロア1住戸、最上階、メゾネットという構造も、プライバシーを重視するゲストには好まれるでしょう。

 

しかし、この物件には民泊運営において無視できない大きな課題が複数存在します。

まず、**「築51年」**という築年数です。写真を見る限り、内装は比較的綺麗に見えますが、築半世紀を超える物件は、配管や電気系統、断熱性など、目に見えない部分で老朽化が進んでいる可能性があります。突発的な修繕費がかさむリスクや、冬場の光熱費が高くなる可能性も考慮すべきです。

 

次に、賃料25万円、敷金・礼金それぞれ25万円という初期費用と月々の固定費の高さです。都心の一等地とはいえ、この賃料を民泊の収益で賄うためには、非常に高い稼働率と宿泊単価を常に維持する必要があります。都内は民泊の競合が非常に多く、価格競争に巻き込まれやすい環境です。

 

「民泊相談可」という点は好材料ですが、具体的な許可条件や、近隣住民とのトラブル対策、消防法への適合など、クリアすべきハードルは少なくありません。特に、閑静な住宅街に位置している場合、騒音やゴミ出しなど、近隣からのクレームは深刻な問題に発展する可能性があります。定期借家契約であるため、2年後の再契約の可否や条件も不確定要素となります。

 

 

契約前に確認するポイント

 

 

「民泊相談可」の物件であるため、契約前に以下の点を徹底的に確認してください。

  • 「民泊相談可」の具体的な範囲と条件: 口頭での確認だけでなく、民泊運営に関する許可範囲(宿泊日数制限、騒音対策、ゴミ出しルール、外国人対応の具体的内容など)を書面で明確にしてもらいましょう。特に、近隣住民への説明や同意の有無も確認が必要です。

  • 事業用としての契約: 賃貸契約が事業用となるのか、それに伴う消費税の有無や、将来的な税務処理について確認が必要です。

  • ライフラインの契約: 電気・ガス・水道、インターネット回線などの契約名義や支払方法について、運営者側で新たに契約が必要なのか、あるいは既存のものを利用できるのか確認しましょう。

  • 修繕・原状回復の範囲: 築51年という点を踏まえ、経年劣化による修繕費用や、ゲストによる破損時の原状回復費用負担について、契約書で明確に定める必要があります。

  • 近隣住民への配慮: 閑静な住宅街であるため、騒音トラブルやゴミ出しルール違反は深刻な問題になりかねません。事前に周辺環境を確認し、運営者としてどのような対策を講じるか、オーナーと相談しておくべきです。

  • 保険加入: 民泊運営に特化した損害賠償責任保険への加入は必須です。万が一の事故やトラブルに備えましょう。

  • 定期借家契約の更新条件: 契約期間が2年と定められているため、2年後の再契約の可否、更新料、更新時の賃料改定などについて、事前にオーナーと話し合っておくべきです。

 

周辺地域の平均稼働率

 

 

北千住は、都内でも有数の交通の便が良いエリアであり、観光客だけでなくビジネス客の需要も期待できます。都心部の民泊稼働率は一般的に60%〜80%程度を目指すことが可能です。特に、駅からのアクセスが良く、2LDKという広さがあるため、ファミリー層やグループ旅行者の需要を取り込めれば、高い稼働率を維持できる可能性はあります。

 

しかし、都内は民泊の競合が非常に多く、常に価格競争に晒されています。物件の魅力度、運営者の集客努力、競合物件の状況によって稼働率は大きく変動します。この物件は築年数が古いため、内装や設備で他の新築・築浅物件との差別化を図る必要があります。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

上記の稼働率の想定に基づき、この物件で民泊を運営した場合の想定年間利益を試算してみましょう。ここでは、比較的楽観的なシナリオと、厳しい現実を突きつける辛口シナリオの二つで試算します。

 

【前提条件】

  • 月額賃料: 25万円

  • 1泊あたりの宿泊単価: 2LDKで複数人利用を想定し、1泊あたり25,000円と仮定します。(競争環境により変動)

  • 清掃費: 1回あたり10,000円と仮定

  • プラットフォーム手数料: 売上の15%と仮定

  • 光熱費・通信費など: 月額40,000円と仮定(築年数や広さ、ルーフバルコニーがあるため高め)

  • その他消耗品費: 月額8,000円と仮定

  • 民泊稼働上限: 年間180日(住宅宿泊事業法の場合)


シナリオ1:楽観的な稼働率(月間65%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間65%(年間180日稼働、民泊は年間180日上限)

    • : 民泊は年間180日稼働上限のため、このシナリオは稼働率が非常に高く、ほぼ上限まで稼働した場合の理想的なケースです。

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 25,000円/泊 × 180泊 = 4,500,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 25万円/月 × 12ヶ月 = 3,000,000円

    • 年間清掃費 = 10,000円/回 × 90回(180日の半分)= 900,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 4,500,000円 × 15% = 675,000円

    • 年間光熱費・通信費 = 40,000円/月 × 12ヶ月 = 480,000円

    • 年間消耗品費 = 8,000円/月 × 12ヶ月 = 96,000円

    • 年間費用合計 = 3,000,000円 + 900,000円 + 675,000円 + 480,000円 + 96,000円 = 5,151,000円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 4,500,000円 - 5,151,000円 = -651,000円


シナリオ2:辛口な稼働率(月間50%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間50%(年間150日稼働)

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 25,000円/泊 × 150泊 = 3,750,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 25万円/月 × 12ヶ月 = 3,000,000円

    • 年間清掃費 = 10,000円/回 × 75回(150日の半分)= 750,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 3,750,000円 × 15% = 562,500円

    • 年間光熱費・通信費 = 40,000円/月 × 12ヶ月 = 480,000円

    • 年間消耗品費 = 8,000円/月 × 12ヶ月 = 96,000円

    • 年間費用合計 = 3,000,000円 + 750,000円 + 562,500円 + 480,000円 + 96,000円 = 4,888,500円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 3,750,000円 - 4,888,500円 = -1,138,500円


この試算が示す通り、月額25万円という賃料の物件で、都心の一等地であっても民泊で利益を出すのは非常に困難を極めます。楽観的な稼働率でも年間約65万円の赤字、辛口な稼働率では年間100万円以上の赤字となる厳しい結果です。都心での民泊は、高額な賃料をカバーできるだけの高単価と高稼働率を両立させなければ、簡単に赤字に転落します。

 

 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア

 

 

この物件で民泊運営を行い、赤字を回避し利益を出すためには、相当な努力と、他の追随を許さないほどの差別化戦略が必要になります。

  1. ターゲット層の徹底的な絞り込みと特化:

    • 長期滞在のビジネス出張者/外国人: 広さ、駅近という利便性を活かし、数週間〜数ヶ月単位のビジネス出張者や、都内での長期滞在を希望する外国人をターゲットにする。マンスリーマンションとしての利用も視野に入れる。

    • 家族旅行/グループ旅行: 2LDKという間取りを活かし、都内観光の拠点としてファミリーやグループに特化する。子供向けのアメニティや設備を充実させる。

    • コンセプト特化: ルーフバルコニーを活かした「都会のオアシス」のようなコンセプトや、和室を活かした「和モダン」な空間など、明確なコンセプトを打ち出し、他物件との差別化を図る。

  2. 付加価値の提供と単価アップ:

    • ルーフバルコニーの最大限活用: BBQセットのレンタル、夜景を楽しめる照明や家具の設置など、ルーフバルコニーを魅力的な空間として演出し、高単価設定の根拠とする。

    • 体験型コンテンツの提供: 北千住周辺のローカルな魅力(昔ながらの商店街、銭湯、居酒屋など)を体験できるガイドブックや、提携店舗での割引サービスを提供する。

    • 充実したアメニティ: 高品質な寝具、調理器具、家電、バスアメニティなどを揃え、ホテルライクな快適さを提供する。

  3. 多角的な集客チャネルの活用:

    • Airbnbだけでなく、Booking.com、楽天トラベル、じゃらんnetなど、国内外の主要なOTA(オンライン旅行代理店)に幅広く掲載し、露出を増やす。

    • InstagramやX(旧Twitter)などで、物件の魅力や周辺の観光情報を積極的に発信し、視覚的に訴求する。特にルーフバルコニーの魅力を動画でアピールする。

    • 旅行会社や企業と連携し、出張者向けや社員旅行向けの宿泊先として提案する。

  4. 運営効率の徹底的な改善:

    • スマートロック導入や、詳細なセルフチェックインガイド作成により、無人運営を基本とする。

    • 清掃業者との連携を密にし、コストを抑えつつ高い清掃品質を維持する。

    • 消耗品の一括購入や、光熱費の節約など、細かなコスト削減を徹底する。

この物件は、北千住駅徒歩6分という好立地とルーフバルコニーという魅力を持ちながらも、高額な賃料と築年数という大きな課題を抱えています。安易な気持ちで「民泊可」という言葉に飛びつくのではなく、緻密な資金計画と、都心での激しい競争に打ち勝つための強力な差別化戦略が不可欠です。果たして、この物件であなたは「宿泊事業成功」の夢を現実のものにできるでしょうか?