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【徳島県阿南市】民泊・転貸可!築浅3LDK一戸建て賃貸は本当に“稼げる”のか?辛口診断

物件情報

 

 

この物件の詳細は以下の通りです。

  • 住所: 徳島県阿南市那賀川町上福井南川渕

  • 最寄り駅: 阿波中島駅 (徒歩距離不明)

  • 賃料: 13.8万円

  • 管理費等: なし

  • 敷金/礼金: 敷金1ヶ月 / 礼金なし

  • 保証金: なし

  • 間取り/面積: 3LDK / 91.08㎡

  • 種別・構造: 賃貸一戸建て / 木造

  • 築年月(築年数): 2011年1月 (築14年7ヶ月)

  • 設備: バス・トイレ別、追焚機能、浴室乾燥機、温水洗浄便座、システムキッチン、IHクッキングヒーター、床下収納、専用庭、室内洗濯機置き場、洗面所独立、シューズボックス、エアコン、収納スペース、フローリングなど設備充実

  • 特記事項: ペット相談可(敷金2ヶ月)、二人入居可、閑静な住宅街、事務所使用可、駐車場3台分以上(無料)、オール電化、フリーレント2ヶ月可能、民泊・転貸可

物件の詳細はこちらからご確認ください: 徳島県阿南市那賀川町上福井南川渕 3LDK 一戸建て 賃貸物件詳細

 

 

民泊適正評価

 

 

この物件は「民泊・転貸可」と明記されており、築浅で設備が充実している点、そして3LDKという広さは、ファミリー層やグループ旅行者をターゲットとする民泊運営において大きな強みとなります。特に、駐車場が3台分以上無料であることは、車での移動が主流となる地方での集客において非常に有利な点です。オール電化であるため、ガス代を気にせず利用できる点もメリットと言えるでしょう。閑静な住宅街に位置しているため、騒音トラブルのリスクも比較的低いと考えられます。

 

しかし、地方都市での民泊運営には、都市部とは異なる厳しい現実が伴います。まず、「阿波中島駅」からの徒歩距離が不明であること。もし駅から遠ければ、公共交通機関を利用する観光客にとっては不便に感じられる可能性があります。また、阿南市は徳島県内では主要な都市の一つですが、観光地としての知名度は全国的に見ると高くありません。年間を通して安定した観光客の流入が見込めるか、慎重に判断する必要があります。

 

月額13.8万円という賃料は、地方の一戸建てとしては高めの設定です。この賃料を民泊の収益で賄うためには、相当な稼働率と宿泊単価を維持する必要があります。特に、競合となる宿泊施設(ビジネスホテル、旅館、他の民泊など)との差別化をいかに図るかが重要になります。フリーレント2ヶ月は初期費用を抑える上で魅力的ですが、その後の収益性を確保できなければ意味がありません。

 

 

契約前に確認するポイント

 

 

「民泊・転貸可」の物件であるため、契約前に以下の点を徹底的に確認してください。

  • 「民泊・転貸可」の具体的な条件: 口頭での確認だけでなく、民泊運営に関する許可範囲(宿泊日数制限、騒音対策、ゴミ出しルール、ゲスト対応の具体的内容など)を書面で明確にしてもらいましょう。特に、転貸(サブリース)の場合、オーナーと転貸契約者(あなた)の間で責任範囲を明確にする必要があります。

  • 事業用としての契約: 賃貸契約が事業用となるのか、それに伴う消費税の有無や、将来的な税務処理について確認が必要です。

  • ライフラインの契約: オール電化であるため、電気代の契約名義や支払方法について、運営者側で新たに契約が必要なのか、あるいは既存のものを利用できるのか確認しましょう。インターネット回線についても同様です。

  • 修繕・原状回復の範囲: 築浅とはいえ、ゲストによる破損時の原状回復費用負担について、契約書で明確に定める必要があります。

  • 近隣住民への配慮: 閑静な住宅街であるため、騒音トラブルやゴミ出しルール違反は深刻な問題になりかねません。事前に周辺環境を確認し、運営者としてどのような対策を講じるか、オーナーと相談しておくべきです。

  • 保険加入: 民泊運営に特化した損害賠償責任保険への加入は必須です。万が一の事故やトラブルに備えましょう。

 

周辺地域の平均稼働率

 

 

徳島県全体の観光客入込数は年間数百万人に上りますが、阿南市単独での観光需要は限定的です。主要な観光地は徳島市周辺や鳴門市に集中しており、阿南市はビジネス需要や特定のイベント、あるいは通過点としての需要が主となる可能性があります。

 

地方の観光地における民泊の稼働率は一般的に20%〜40%程度と低めです。この物件は駐車場が充実しているため、車での旅行者にはアピールできますが、それでも年間を通して安定した高稼働を維持するのは容易ではありません。月間25%〜35%程度という稼働率も視野に入れておくべきでしょう。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

上記の稼働率の想定に基づき、この物件で民泊を運営した場合の想定年間利益を試算してみましょう。ここでは、現実的な厳しさを反映した辛口な設定で計算します。

 

【前提条件】

  • 月額賃料: 13.8万円

  • 1泊あたりの宿泊単価: 3LDKでファミリーやグループ利用を想定し、1泊あたり18,000円と仮定します。(競争環境や時期により変動)

  • 清掃費: 1回あたり8,000円と仮定

  • プラットフォーム手数料: 売上の15%と仮定

  • 光熱費・通信費など: 月額35,000円と仮定(オール電化のため電気代が高くなる可能性も)

  • その他消耗品費: 月額5,000円と仮定

  • 民泊稼働上限: 年間180日


シナリオ1:楽観的な稼働率(月間35%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間35%(年間128日稼働)

    • : 民泊は年間180日稼働上限のため、このシナリオは稼働率が比較的良好なケースです。

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 18,000円/泊 × 128泊 = 2,304,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 13.8万円/月 × 12ヶ月 = 1,656,000円

    • 年間清掃費 = 8,000円/回 × 64回(128日の半分)= 512,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 2,304,000円 × 15% = 345,600円

    • 年間光熱費・通信費 = 35,000円/月 × 12ヶ月 = 420,000円

    • 年間消耗品費 = 5,000円/月 × 12ヶ月 = 60,000円

    • 年間費用合計 = 1,656,000円 + 512,000円 + 345,600円 + 420,000円 + 60,000円 = 2,993,600円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 2,304,000円 - 2,993,600円 = -689,600円


シナリオ2:辛口な稼働率(月間25%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間25%(年間91日稼働)

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 18,000円/泊 × 91泊 = 1,638,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 13.8万円/月 × 12ヶ月 = 1,656,000円

    • 年間清掃費 = 8,000円/回 × 46回(91日の半分、小数点切り上げ)= 368,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 1,638,000円 × 15% = 245,700円

    • 年間光熱費・通信費 = 35,000円/月 × 12ヶ月 = 420,000円

    • 年間消耗品費 = 5,000円/月 × 12ヶ月 = 60,000円

    • 年間費用合計 = 1,656,000円 + 368,000円 + 245,700円 + 420,000円 + 60,000円 = 2,749,700円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 1,638,000円 - 2,749,700円 = -1,111,700円


この試算が示す通り、月額13.8万円という賃料の物件で、地方都市の民泊で利益を出すのは非常に困難を極めます。楽観的な稼働率でも年間約69万円の赤字、辛口な稼働率では年間100万円以上の赤字となる厳しい結果です。フリーレント2ヶ月があったとしても、その後の赤字をカバーできるレベルではありません。

 

 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア

 

 

この物件で民泊運営を行い、赤字を回避し利益を出すためには、相当な努力と、もはや「民泊」という枠を超えた発想が必要になります。

  1. ターゲット層の徹底的な絞り込みと特化:

    • 長期滞在のビジネス出張者: 駐車場が複数台あること、3LDKという広さ、充実した設備を活かし、数週間〜数ヶ月単位のビジネス出張者向けに特化する。マンスリーマンションとしての利用も視野に入れる。

    • ワーケーション需要: 高速インターネット環境を整備し、仕事と休暇を両立したいワーケーション層をターゲットにする。専用のワークスペースを設けるなど。

    • ペット同伴旅行者: 「ペット相談可」の強みを最大限に活かし、ペットと快適に過ごせる設備(足洗い場、ペット用アメニティ、ケージなど)を充実させ、ペット連れ旅行のニーズに応える。

    • 特定のイベント参加者: 阿南市や周辺地域で開催される特定のイベント(例:阿南市科学センターでのイベント、地域の祭りなど)の参加者向けに、期間限定でプロモーションを行う。

  2. 付加価値の提供と単価アップ:

    • 体験型コンテンツの提供: 徳島ならではの体験(例:鳴門の渦潮観光、阿波踊り体験、藍染め体験、吉野川でのアクティビティなど)を組み合わせた宿泊プランを提案する。

    • 地元の食材提供: 地元の新鮮な食材(魚介類、野菜など)を提供したり、地元の飲食店との提携で割引サービスを提供したりする。

    • 送迎サービス: 最寄り駅からの送迎サービスを提供し、公共交通機関利用者の利便性を高める。

  3. 多角的な集客チャネルの活用:

    • Airbnbだけでなく、Booking.com、楽天トラベル、じゃらんnetなど、国内・海外の主要なOTA(オンライン旅行代理店)に幅広く掲載し、露出を増やす。

    • 地元の観光協会や旅行会社と連携し、ツアーの一部として組み込んでもらうなど、広範囲でのプロモーションを行う。

    • SNS(Instagram、Xなど)で、物件の魅力や周辺の観光情報を積極的に発信し、視覚的に訴求する。

  4. 運営効率の徹底的な改善:

    • 清掃の効率化: 信頼できる清掃業者との契約や、一部をゲストに協力してもらう「セルフクリーニングオプション」の導入を検討する。

    • スマートロック導入: 鍵の受け渡しを無人化し、チェックイン・チェックアウトの効率を高める。

    • 消耗品の一括購入: トイレットペーパーやアメニティなどの消耗品は、業務用をまとめ買いすることでコストを抑える。

この物件は、築浅で設備が充実しており、「民泊・転貸可」という非常に魅力的な条件を持っていますが、地方都市の民泊運営は、賃料の高さと集客の難しさという厳しい現実が立ちはだかります。安易な気持ちで参入するのではなく、極めて現実的かつ綿密な事業計画を立て、様々なリスクを考慮した上で判断することが不可欠です。果たして、この物件であなたは利益を出せる自信がありますか?