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【神戸・中央区】民泊相談可!駐車場付き4DK物件は本当に“儲かる”のか?辛口診断

物件情報

 

 

この物件の詳細は以下の通りです。

  • 住所: 神戸市中央区浜辺通

  • 最寄り駅: ポートライナー貿易センタービル駅徒歩10分、各線三宮駅から徒歩20分

  • 周辺施設: みなとのもり公園から徒歩5分、コンビニ徒歩1分

  • 賃料: 8.8万円

  • 管理費等: なし

  • 敷金/礼金: 敷金1ヶ月分 / 礼金1ヶ月分

  • 間取り/面積: 4DK

  • 階数: 2階、3階部分

    • 2階: キッチン、1部屋

    • 3階: 風呂、トイレ、3部屋(一部屋3畳から4畳)

  • 建築年数: 不明

  • 特記事項: 敷地内駐車スペースあり、外国人柔軟に対応、民泊相談可、契約は直接または仲介業者経由でも可能。

物件の詳細はこちらからご確認ください: 民泊相談のります。車止めれます。外国人柔軟に対応します。(投稿ID : 1iwl4m)

 

 

民泊適正評価

 

 

この物件は「民泊相談可」と明記されており、都市部での民泊運営を検討する方にとっては魅力的な選択肢に見えるかもしれません。4DKという間取りは、ファミリー層やグループ旅行者にとって十分な広さを提供できます。特に、各線三宮駅から徒歩圏内(20分)であること、ポートライナー貿易センター駅から徒歩10分という立地は、神戸観光の拠点としては比較的良好と言えるでしょう。コンビニが徒歩1分という利便性も高評価ポイントです。

 

そして最大の売りは「敷地内駐車スペースあり」という点です。これは、車で旅行する国内ゲストや、レンタカーを利用するインバウンドゲストにとっては非常に大きなメリットとなります。また、オーナーが「外国人柔軟に対応」と明記している点も、インバウンド需要を取り込む上で好材料です。

 

しかし、冷静な視点も忘れてはいけません。まず「建築年数不明」という点はリスクです。築年数が古い場合、修繕費や維持費がかさむ可能性があります。また、部屋が「3畳から4畳」とやや手狭な部屋が多い点は、ゲストによっては窮屈に感じるかもしれません。プライバシーが確保しにくい間取りであれば、グループ利用の満足度に影響が出る可能性もあります。

 

そして、最も重要なのが「家賃8.8万円」という価格設定です。神戸市中央区の駅近物件としては一見妥当に見えますが、民泊として利益を出すには、この家賃をカバーできるだけの高い稼働率と宿泊単価を維持する必要があります。周辺に競合物件が多い場合、価格競争に巻き込まれ、想定通りの収益を上げられないリスクも十分に考えられます。オーナーが不動産屋ではないため「柔軟に対応」とのことですが、契約内容や退去時の条件など、不明瞭な点が残る可能性もあります。

 

 

契約前に確認するポイント

 

 

民泊運営は一般的な賃貸契約とは異なり、確認すべき点が多岐にわたります。特に以下の点は、契約前に徹底的に詰めておきましょう。

  • 「民泊相談可」の具体的な範囲: 口頭での確認だけでなく、民泊運営に関する許可範囲(宿泊日数制限、騒音対策、ゴミ出しルール、外国人対応の具体的内容など)を書面で明確にしてもらいましょう。

  • 事業用としての契約: 賃貸契約が事業用となるのか、それに伴う消費税の有無や、将来的な税務処理について確認が必要です。

  • ライフラインの契約: 電気・ガス・水道、インターネット回線などの契約名義や支払方法について、運営者側で新たに契約が必要なのか、あるいは既存のものを利用できるのか確認しましょう。

  • 修繕・原状回復の範囲: 築年数不明のため、経年劣化による修繕費用や、ゲストによる破損時の原状回復費用負担について、契約書で明確に定める必要があります。

  • 近隣住民への配慮: 周辺が住宅地の場合、騒音トラブルやゴミ出しルール違反は深刻な問題になりかねません。事前に周辺環境を確認し、運営者としてどのような対策を講じるか、オーナーと相談しておくべきです。

  • 保険加入: 民泊運営に特化した損害賠償責任保険への加入は必須です。万が一の事故やトラブルに備えましょう。

 

周辺地域の平均稼働率

 

 

神戸市は国内外から多くの観光客が訪れる人気の都市であり、特に三宮周辺は観光客の拠点となります。都市部での民泊稼働率は一般的に高く、60%〜80%程度を目指すことが可能です。しかし、これはあくまで平均値であり、物件の魅力度、運営者の集客努力、競合物件の状況によって大きく変動します。

 

この物件の場合、三宮駅から徒歩20分、貿易センター駅から徒歩10分という立地は、都市中心部からはやや離れており、他の競合物件(駅直結や繁華街至近など)に比べて集客面で不利になる可能性も否めません。ただし、駐車場付きという強みは、車利用の観光客をターゲットとすることで、他の物件との差別化を図り、稼働率向上に貢献する可能性があります。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

上記の稼働率の想定に基づき、この物件で民泊を運営した場合の想定年間利益を試算してみましょう。ここでは、比較的楽観的なシナリオと、厳しい現実を突きつける辛口シナリオの二つで試算します。

 

【前提条件】

  • 月額賃料: 8.8万円

  • 1泊あたりの宿泊単価: 4DKで複数人利用を想定し、1泊あたり15,000円と仮定します。(競争環境により変動)

  • 清掃費: 1回あたり7,000円と仮定

  • プラットフォーム手数料: 売上の15%と仮定

  • 光熱費・通信費など: 月額25,000円と仮定

  • その他消耗品費: 月額7,000円と仮定


シナリオ1:楽観的な稼働率(月間65%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間65%(年間237日稼働、民泊は年間180日上限)

    • : 民泊は年間180日稼働上限のため、このシナリオは稼働率が非常に高く、ほぼ上限まで稼働した場合の理想的なケースです。

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 15,000円/泊 × 180泊(上限) = 2,700,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 8.8万円/月 × 12ヶ月 = 1,056,000円

    • 年間清掃費 = 7,000円/回 × 90回(180日の半分)= 630,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 2,700,000円 × 15% = 405,000円

    • 年間光熱費・通信費 = 25,000円/月 × 12ヶ月 = 300,000円

    • 年間消耗品費 = 7,000円/月 × 12ヶ月 = 84,000円

    • 年間費用合計 = 1,056,000円 + 630,000円 + 405,000円 + 300,000円 + 84,000円 = 2,475,000円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 2,700,000円 - 2,475,000円 = 225,000円


シナリオ2:辛口な稼働率(月間40%稼働の場合)

  • 想定稼働率: 月間40%(年間146日稼働)

  • 年間収入の試算:

    • 年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 15,000円/泊 × 146泊 = 2,190,000円

  • 年間費用の試算:

    • 年間賃料 = 8.8万円/月 × 12ヶ月 = 1,056,000円

    • 年間清掃費 = 7,000円/回 × 73回(146日の半分)= 511,000円

    • 年間プラットフォーム手数料 = 2,190,000円 × 15% = 328,500円

    • 年間光熱費・通信費 = 25,000円/月 × 12ヶ月 = 300,000円

    • 年間消耗品費 = 7,000円/月 × 12ヶ月 = 84,000円

    • 年間費用合計 = 1,056,000円 + 511,000円 + 328,500円 + 300,000円 + 84,000円 = 2,279,500円

  • 想定年間利益:

    • 想定年間利益 = 2,190,000円 - 2,279,500円 = -89,500円


この試算から分かるように、たとえ都市部の物件であっても、稼働率が伸び悩めば、簡単に赤字に転落する可能性があります。特に月間40%程度の稼働率では、年間で約9万円の赤字となる厳しい結果です。この家賃で安定した利益を出すためには、少なくとも月間50%以上の稼働率を常に維持し、かつ宿泊単価も高めに設定できる工夫が求められます。

 

 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア

 

 

赤字のリスクを避けてこの物件で利益を出すためには、以下のような戦略的なアプローチが不可欠です。

  1. 駐車場を最大限に活用した集客:

    • 「車で神戸観光」をテーマに、敷地内駐車場のメリットを最大限にアピール。駐車料金を無料にする、あるいは近隣の有料駐車場より安価に設定することで、大きな差別化ポイントとする。

    • 周辺のコインパーキング情報を事前に提供し、駐車スペースの利便性を強調する。

  2. ターゲット層の絞り込み:

    • インバウンドのファミリー/グループ層: 「外国人柔軟に対応」という強みを活かし、複数の言語で案内を用意。部屋が3畳〜4畳と小さめでも、リビングやダイニングで団欒できる空間をアピールする。

    • ビジネス出張者/長期滞在者: 三宮へのアクセスやコンビニが近い利便性を活かし、数日〜数週間のビジネス利用を促進する。割引プランを設定するなど。

  3. 付加価値の提供と単価アップ:

    • 体験型コンテンツの提供: 神戸ならではの体験(例:酒蔵巡り、異人館散策、六甲山ハイキング、南京町食べ歩きなど)を組み合わせた宿泊プランを提案する。

    • BBQセット/調理器具の充実: 4DKという広さを活かし、自炊やBBQが楽しめる設備を整え、グループでの滞在満足度を高める。

    • デザイン性/コンセプトの明確化: 内装デザインにこだわり、SNS映えする空間を演出することで、口コミや写真投稿を促す。

  4. 多角的な集客チャネルの活用:

    • Airbnbだけでなく、Booking.com、楽天トラベル、じゃらんnetなど、国内・海外の主要なOTA(オンライン旅行代理店)に幅広く掲載し、露出を増やす。

    • InstagramやX(旧Twitter)などで、物件の魅力や周辺の観光情報を積極的に発信し、視覚的に訴求する。地元の観光協会やイベント主催者との連携も検討する。

  5. 運営効率の徹底的な改善:

    • 清掃の効率化: 信頼できる清掃業者との契約や、一部をゲストに協力してもらう「セルフクリーニングオプション」の導入を検討する。

    • スマートロック導入: 鍵の受け渡しを無人化し、チェックイン・チェックアウトの効率を高める。

    • 消耗品の一括購入: トイレットペーパーやアメニティなどの消耗品は、業務用をまとめ買いすることでコストを抑える。

 

この物件は、駐車場付きという大きな武器を持ちながらも、家賃を上回る収益を出すためには、綿密な計画と絶え間ない努力が必要です。特に競争が激しい都市型民泊においては、ただ物件を貸すだけでは勝ち残れません。差別化されたサービスと効率的な運営を徹底し、赤字のリスクを最小限に抑えながら、成功を目指してください。