物件情報
この物件の詳細は以下の通りです。
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住所: 徳島県小松島市金磯町
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最寄り駅: JR牟岐線阿波赤石駅徒歩1000m
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賃料: 6.9万円(事業用家賃:消費税別途8.8万円)
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管理費等: なし
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敷金/礼金: 敷金1ヶ月 / 礼金なし
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保証金: なし
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敷引・償却: -
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間取り: 4LDK
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広さ: 111.31㎡
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種別: 賃貸一戸建て
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築年月: 1997年8月 (築28年)
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特記事項: ペット相談可、閑静な住宅街、フリーレント2ヶ月付、事務所使用可、民泊可、転貸可。
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リフォーム履歴: 2024年11月に水回り(トイレ/洗面所)、内装全面(床・壁・天井・建具)、外壁のリフォームを実施済み。
詳細情報はこちらのURLからご確認ください: 徳島県小松島市金磯町 4LDK 一戸建て 賃貸物件詳細
民泊適正評価
この物件は「民泊可」と明記されており、4LDKという広さや2024年11月に大規模なリフォームが実施されている点は民泊運営において大きなアドバンテージです。特に水回りや内装、外壁まで手が加えられているため、ゲストは快適に過ごせるでしょう。また、ペット相談可という点は、ペット連れの旅行者というニッチな層を取り込める可能性を秘めています。フリーレント2ヶ月も初期費用を抑える上で魅力的です。
しかし、冷静に物件を見極める必要があります。最大の懸念点は「立地」と「地方」という二つの要素です。最寄り駅であるJR牟岐線阿波赤石駅から徒歩1000m(約12~15分)という距離は、観光客にとっては決して便利とは言えません。特に公共交通機関を利用するインバウンドの旅行者にとっては、アクセスが良いとは言い難いでしょう。閑静な住宅街という点は、長期滞在者や静かに過ごしたい層には良いかもしれませんが、観光目的の短期滞在者には響きにくい可能性もあります。
さらに、徳島県小松島市という地方都市において、民泊の需要がどれほどあるのかは未知数です。大都市圏のように常に観光客が溢れているわけではないため、集客には相当な工夫が必要となるでしょう。周辺に目立った観光スポットが少ない場合、リピーターの確保や口コミによる新規顧客獲得も容易ではありません。家賃が月額6.9万円(事業用は8.8万円)というのは一見手頃に見えますが、地方での低い稼働率を考慮すると、採算が取れない「高すぎる家賃」となるリスクが非常に高いと言わざるを得ません。
契約前に確認するポイント
民泊運営は賃貸契約とは異なる留意点が多くあります。特に以下の点は契約前に徹底的に確認してください。
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事業用としての契約条件: 賃料が事業用として消費税別途の8.8万円となるため、月額費用は個人契約より高くなります。消費税の取り扱いについても税理士に相談するなどして確認しましょう。
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管理会社との連携: 「民泊可」「転貸可」とありますが、実際の運営において管理会社がどこまでサポートしてくれるのか、あるいはどのような制約があるのかを事前に確認することが重要です。
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近隣住民への配慮: 閑静な住宅街であるため、騒音やゴミ出しなど、近隣住民とのトラブルに発展しないよう、十分な対策と配慮が必要です。運営ルールを明確にし、ゲストにも徹底させる必要があります。
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地域の条例・規制: 小松島市独自の民泊に関する条例や規制がないか、必ず市役所などで確認してください。法改正や規制強化のリスクも常に頭に入れておくべきです。
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保険加入: 住宅保険への加入は必須ですが、民泊運営に特化した保険も検討しましょう。トラブル発生時の備えは重要です。
周辺地域の平均稼働率
徳島県小松島市における民泊の具体的な平均稼働率に関する公開データは限定的です。一般的に、民泊の稼働率は地域によって大きく異なり、都市部では60~80%程度が見込める一方、地方都市では30~50%程度にとどまることも珍しくありません。
小松島市は徳島県内の他の主要観光地(例:徳島市中心部、鳴門市など)と比較すると、突出した観光資源があるわけではありません。そのため、多くの観光客が宿泊する場所として選ばれにくい可能性があります。Google検索の結果からも、小松島市の観光客に関する具体的な宿泊データや民泊稼働率のデータは限定的でした。 この物件の場合、駅からの距離や周辺の利便性を考慮すると、一般的な地方の民泊稼働率の低めのレンジ、例えば月間30%~40%程度を想定しておくのが賢明でしょう。特に観光閑散期はさらに低くなる可能性も十分にあります。
運営した場合の想定年間利益
上記の稼働率の想定に基づき、この物件で民泊を運営した場合の想定年間利益を試算してみましょう。 ここでは辛口な評価として、現実的な低めの設定で計算します。
【前提条件】
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事業用月額賃料: 8.8万円(税込)
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1泊あたりの宿泊単価: 4LDKですが、地方の需要を考慮し、1泊あたり10,000円と仮定します。
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想定稼働率: 月間35%(年間128日稼働、民泊は年間180日上限)
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清掃費: 1回あたり6,000円と仮定(稼働日数の半分の回数で清掃と仮定: 128日 / 2 = 64回)
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プラットフォーム手数料: 売上の15%と仮定
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光熱費・通信費など: 月額20,000円と仮定
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その他消耗品費: 月額5,000円と仮定
【年間収入の試算】
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年間売上 = 宿泊単価 × 年間稼働日数 = 10,000円/泊 × 128泊 = 1,280,000円
【年間費用の試算】
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年間賃料 = 8.8万円/月 × 12ヶ月 = 1,056,000円
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年間清掃費 = 6,000円/回 × 64回 = 384,000円
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年間プラットフォーム手数料 = 1,280,000円 × 15% = 192,000円
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年間光熱費・通信費 = 20,000円/月 × 12ヶ月 = 240,000円
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年間消耗品費 = 5,000円/月 × 12ヶ月 = 60,000円
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年間費用合計 = 1,056,000円 + 384,000円 + 192,000円 + 240,000円 + 60,000円 = 1,932,000円
【想定年間利益】
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想定年間利益 = 年間収入 - 年間費用合計 = 1,280,000円 - 1,932,000円 = -652,000円
この試算から分かるように、年間で約65万円もの赤字が出る可能性が高いという非常に厳しい結果となりました。これはあくまで仮定の数値ですが、地方物件で稼働率が低い場合、家賃が足かせとなり、利益を出すどころか持ち出しになるリスクが高いことを示しています。
想定利益が低い場合の改善するためのアイデア
この物件で民泊運営を行い、赤字を回避し利益を出すためには、相当な努力と戦略的なアプローチが必要です。以下に改善のためのアイデアをいくつか提示します。
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ターゲット層の明確化と特化:
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長期滞在者: 例えば、テレワーク利用や企業の研修など、数週間~数ヶ月単位での長期滞在を誘致する。長期割引を設定し、単価は下がるものの稼働率を安定させる。
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ペット連れ旅行者: ペット相談可という強みを最大限に活かし、ペットと安心して泊まれる施設としてのブランディングを強化する。ドッグランやペット用アメニティの充実を図る。
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特定のイベント需要: 小松島市や徳島県内で開催されるイベント(祭り、スポーツ大会など)の参加者や関係者向けに、期間限定でプロモーションを行う。
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医療関係者、ビジネス出張者: 病院や企業が近くにある場合、研修や出張での長期滞在をターゲットにする。
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差別化された体験の提供:
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地域密着型アクティビティ: 地元の漁師との釣り体験、農家での収穫体験、阿波踊り体験など、その地域ならではの体験プログラムを企画・提供する。
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BBQやアウトドア: 広い庭やバルコニーがある場合、BBQセットやアウトドア用品を貸し出し、プライベートな空間での体験価値を高める。
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地元の食材提供: 地元の新鮮な魚介類や野菜を使った料理を提供したり、それらを調理できる環境(システムキッチン、調理器具)をアピールしたりする。
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積極的な集客とマーケティング:
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多言語対応と海外サイトへの掲載: インバウンド需要を見込み、https://www.google.com/search?q=Airbnb%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%AA%E3%81%8FBooking.com、Agodaなど複数のOTA(オンライン旅行代理店)に掲載し、英語、中国語、韓国語など多言語での情報発信を強化する。
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SNS活用: InstagramやFacebookなどで物件の魅力や周辺情報を発信し、視覚的に訴求する。地元の観光協会や飲食店と連携し、相互に情報発信する。
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地元との連携: 地元の観光協会、飲食店、商店などと連携し、割引サービスや特典を提供することで、地域全体の魅力を高め、集客につなげる。
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リピーター戦略: 滞在後のアンケート実施や、リピーター向けの割引、特別なアメニティ提供などで、再訪を促す。
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徹底的なコスト削減:
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清掃の効率化: 清掃業者を見直すか、一部をセルフクリーニングにするなどして清掃費を削減する。
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アメニティの見直し: 消耗品は必要最低限に抑え、品質を保ちつつコストパフォーマンスの良いものを選ぶ。
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光熱費の管理: ゲストに節電・節水を促す工夫をする。
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価格設定の最適化:
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ダイナミックプライシング: 季節や曜日、イベントの有無によって宿泊料金を柔軟に変動させる。閑散期は大幅な割引を行い、まずは稼働率を高めることを優先する。
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連泊割引: 長期滞在を促すための連泊割引や、ウィークリー・マンスリープランの設定。
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これらの対策を講じても、地方での民泊運営は決して楽な道ではありません。特に家賃が収益の大きな足かせとなるため、徹底的なコスト管理と集客努力が不可欠です。この物件は「民泊可」という大きなアドバンテージがありますが、その言葉に惑わされず、冷静な事業計画と盤石な資金計画を立ててから臨むことを強くお勧めします。