物件情報
鹿児島県霧島市福山町の海岸線通りに位置する、民泊・別荘利用が想定されているRC造2階建ての物件です。倉庫2棟も併設されています。
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物件名: 毎日桜島眺めれるビーチライフ物件🧡民泊❓別荘にいかがでしょうか? (投稿ID : 1iumgq)
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所在地: 鹿児島県霧島市福山町福山(海岸線通り)
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賃料: 4.5万円
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管理費等: なし(記載なし)
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ジャンル: 一戸建て
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敷金/礼金: 不明(記載なし)
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間取り/面積: 不明(記載なし)
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階建: RC2階建て
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建築年数: 不明(記載なし。DIY・リノベーション必須の「古家」と記載あり)
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特記事項: 民泊利用推奨、別荘利用可、倉庫2棟併設、セルフ内覧可(要連絡・家主承諾)、DIY・リノベーション必須の古家、詳細情報は電話でのみ対応
民泊適正評価
この物件の民泊適性は、「ロケーションの魅力」と「情報の不透明さ・古さ」という、大きなギャップの中で評価する必要があります。安易に「絶景」だけで判断すると、痛い目を見ることになるでしょう。
【メリット(可能性)】
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絶景ロケーション: 「毎日桜島を眺めれるビーチライフ」という謳い文句の通り、ベランダからの景色が本当に素晴らしいのであれば、これ自体が強力な集客ツールとなります。特に、写真映えするロケーションはSNSでの拡散も期待できます。
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破格の賃料: 月額4.5万円という家賃は、どんなに古い物件であっても、固定費を極限まで抑えたい民泊事業者にとっては非常に魅力的です。この低家賃は、後のリノベーション費用をある程度吸収できる可能性があります。
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民泊利用推奨: 物件紹介文に「民泊されたい方にいかがですか?」と明記されているため、民泊運営に対する貸主の理解があることは大きな安心材料です。
【デメリット(要注意点)】
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情報が極めて不透明: 間取り、面積、築年数が一切不明という時点で、物件の基本情報すら掴めません。これでは具体的なリノベーション計画も、収容人数も、事業計画も立てようがありません。「古家」と明記されていることから、相当な老朽化は覚悟すべきです。
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DIY・リノベーション必須の「古家」: この一文が、この物件の最大のハードルです。単なる内装工事だけでなく、電気・ガス・水道などのインフラから、耐震性、断熱性、水回り設備の一新まで、想像を絶する初期投資が必要となる可能性があります。素人では手に負えず、専門業者に依頼すれば、家賃の安さが霞むほどの費用がかかるでしょう。
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アクセスと利便性: 霧島市福山町は、鹿児島市中心部や空港からのアクセスが必ずしも良いとは言えません。公共交通機関での移動が不便であれば、レンタカー利用のゲストに限定され、集客の間口が狭まります。また、周辺にコンビニや飲食店、スーパーなどの生活利便施設が少ない場合、滞在中のゲストの満足度低下につながります。
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問い合わせ方法の特殊性: 「電話にてお話し出来る方のみに対応」「LINEにて物件情報確認してから家主承諾いただいてから現地内覧」という手順は、情報提供のハードルが高く、検討段階で多くの事業者が脱落する可能性があります。トラブル防止のためとはいえ、この対応は「本気度」を試されていると捉えるべきでしょう。
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倉庫2棟の活用法: 倉庫が2棟あるのは魅力ですが、これもリノベーションが必要な「古家」である可能性が高いです。どのように活用し、収益に結びつけるか具体的に計画できなければ、単なる維持管理の負担になりかねません。
契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営を検討するなら、以下の「覚悟」と「確認」が必須です。
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物件の現状を徹底的に把握する:
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築年数、構造、間取り、面積の正確な情報を入手し、図面を確認する。
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インフラ(電気、ガス、水道、排水)の状態を専門業者に診断してもらい、交換・修繕が必要か確認する。
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雨漏り、シロアリ、傾きなど、構造上の問題がないか、専門家(建築士など)の目を入れてもらう。
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修繕箇所、リノベーションの具体的な範囲と費用を複数の業者から見積もりを取り、初期投資額を正確に算出する。家賃の安さで浮かれる前に、このリノベーション費用がどれだけ青天井かを見積もることが最も重要です。
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法的な確認と許可取得の見込み:
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民泊として運営するために、簡易宿所、住宅宿泊事業法に基づく届出など、どの形態での許可取得が可能かを、行政機関や民泊専門の行政書士に相談する。
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建築基準法や消防法などの関係法令に適合しているか確認し、適合のための改修費用を試算する。
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周辺環境と集客の可能性:
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最寄りの駅やバス停からの距離、所要時間を具体的に確認する。
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周辺の観光スポット、飲食店、スーパーマーケットまでの距離とアクセス方法を確認し、ゲストの利便性を評価する。
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海岸線通りとはいえ、**周囲の環境が民泊に適しているか(夜間の人通り、騒音、治安など)**を実際に足を運んで確認する。
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リスクの洗い出し:
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桜島の噴火に対するリスクと、その際のゲストへの対応策を検討する。
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海沿いの物件ゆえの塩害による劣化進行のリスクを考慮に入れる。
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周辺地域の平均稼働率
霧島市福山町は、鹿児島市内の主要観光地や温泉地とは少し離れた地域です。そのため、他のエリアと比較して民泊の競争は少ないかもしれませんが、同時に集客そのものが課題となる可能性があります。
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観光客のターゲット層: このエリアを訪れる観光客は、桜島ビューや自然を求める層が中心となるでしょう。ターゲットを明確にし、そのニーズに特化したアメニティや情報提供が必要です。
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滞在型民泊の可能性: 日帰り観光ではなく、ゆっくりと滞在して景色や静けさを楽しむタイプのゲストを狙うのであれば、高単価での宿泊も期待できるかもしれません。しかし、そのためには設備やサービスもそれに見合うレベルが求められます。
具体的な稼働率データはこの場所には存在しないため、ご自身で類似の絶景ロケーション物件のOTAサイトでの予約状況を徹底的に調べる必要があります。高い稼働率を期待するよりも、むしろ年間を通して安定した集客ができるかどうかが最大の焦点となります。
運営した場合の想定年間利益
家賃は破格の月額4.5万円、年間で540,000円と非常に低い固定費です。しかし、この安さには**「リノベーション費用」という名の巨大な初期投資が隠されています。**
【リノベーション費用】
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築年数不明の古家、RC造とはいえ、電気・ガス・水道・排水管の全面交換、屋根・外壁の補修、断熱材の追加、水回り(キッチン、風呂、トイレ)の最新化、内装の全面改装を考慮すると、最低でも数百万円、場合によっては1,000万円を超える可能性も十分にあります。この費用を何年で回収する計画なのか、明確な見通しがなければ、家賃の安さは何のメリットにもなりません。
【仮定(非常に楽観的)】
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初期リノベーション費用: 仮に500万円(安く見積もった場合)
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平均宿泊単価: 1泊20,000円(絶景とリノベーションで高単価を設定できた場合)
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想定稼働率: 年間30%(アクセスと立地を考慮した現実的な初期目標)
【粗い試算】
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年間売上: 20,000円 × 365日 × 30% = 2,190,000円
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年間粗利益: 2,190,000円(売上) - 540,000円(家賃) = 1,650,000円
ここからさらに、以下の経費が引かれます。
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清掃費、消耗品費、光熱費、水道代、インターネット代、予約サイト手数料(売上の15%~20%)、損害保険料、税金など。
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さらに、リノベーション費用500万円の償却分も考慮に入れる必要があります。仮に10年で償却するとしても、年間50万円が上乗せされる計算です。
もし、リノベーション費用が数百万円、稼働率が低いとなれば、家賃の安さなど意味をなさないほど、利益を出すのは絶望的です。特に、この物件は「詳細情報は電話で」というスタイルから、写真や情報が不十分なまま高額なリノベーションに着手するリスクも孕んでいます。安価な家賃は、裏を返せば「それだけの課題がある」という警告だと捉えるべきです。
想定利益が低い場合の改善アイデア
絶景という唯一無二の武器を活かしつつ、収益性を高めるための具体的なアイデアは以下の通りです。ただし、どれも簡単ではありません。
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「非日常」体験に特化した高付加価値化:
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露天風呂、プライベートサウナの設置: 桜島を眺めながら入浴できる設備は、高単価を設定できる強力な差別化ポイントになります。ただし、設置費用と維持管理費は高額です。
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BBQスペース、焚き火台の設置: ビーチライフを謳うなら、屋外での食事や体験を提供できる設備は必須です。
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星空観察、釣り体験などのアクティビティ提供: 周辺の自然を活かした体験を企画し、宿泊とセットで提供することで、滞在期間と客単価を伸ばす。
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地元食材を活用した食事提供: ケータリングサービスや、提携する地元飲食店からの出張サービスなどを企画し、地域と連携した付加価値を付ける。
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徹底的なリノベーションとブランディング:
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コンセプト設計: 「絶景と過ごす癒やしの空間」「大人の隠れ家」「家族で楽しむビーチハウス」など、明確なコンセプトを定め、それに沿った内装と設備に徹底的に投資する。
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プロによる写真・動画撮影: 絶景を最大限に活かし、SNSで拡散されるような魅力的なビジュアルコンテンツを作成する。
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多言語対応と海外からの集客: 桜島は外国人観光客にも人気があるため、多言語での情報発信、予約対応、周辺案内を徹底する。
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ロングステイ需要の開拓:
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テレワーク環境の整備(高速Wi-Fi、快適なデスクとチェア)や、割引料金を設定することで、短期の観光客だけでなく、長期滞在のワーケーション需要も取り込む。
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連泊による割引や、特別な体験(例:農業体験、陶芸体験など)を組み合わせることで、滞在期間を延ばしてもらう工夫をする。
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維持管理コストの最適化:
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海沿いの物件は塩害による劣化が早いため、定期的なメンテナンス計画を立て、予備費を確保する。
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清掃や基本的なメンテナンスを可能な限り自分で行うことで、運営コストを抑える。
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この「毎日桜島眺めれるビーチライフ物件」は、家賃の安さとロケーションの魅力という甘い餌であなたを誘いますが、その裏には「DIY・リノベーション」という名の巨額な初期投資と、それに見合うリターンを得るための「厳しい集客競争」が待ち受けています。夢を見るのは自由ですが、まずは徹底的な情報収集と現実的な資金計画から始めるべきです。そうでなければ、美しい桜島も、やがて赤字という名の噴煙に見えてくることでしょう。