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東京・志村三丁目の駅徒歩1分民泊は本当に稼げる?築54年&高額賃料の現実

物件情報

 

 

東京都板橋区志村三丁目に位置する、民泊・事務所・店舗利用が相談可能な賃貸マンションです。

  • SUUMO掲載URL: https://suumo.jp/chintai/bc_100451508222/

  • 所在地: 東京都板橋区志村3丁目

  • 最寄駅: 都営三田線 志村三丁目駅 徒歩1分

  • 賃料: 300,000円

  • 管理費・共益費: なし(記載なし)

  • 敷金/礼金: なし / 300,000円

  • 保証金: 300,000円

  • 敷引・償却: なし(記載なし)

  • 間取り/専有面積: 3LDK / 88.79㎡ (洋10、洋7、洋4.5、LDK10)

  • 建物種別: マンション

  • 築年数: 築54年(1972年1月築)

  • 階建: 3階/4階建て

  • 向き: 不明(記載なし)

  • 設備: バストイレ別、バルコニー、クロゼット2ヶ所、TVインターホン、シューズボックス、システムキッチン、角住戸、脱衣所、洗面所独立、洗面化粧台、即入居可、2面採光、3口以上コンロ、IHクッキングヒーター、ガスレンジ付、2沿線利用可、事務所相談、ルームシェア相談、3方角住戸、2駅利用可、駅徒歩5分以内、都市ガス、シェアハウス、LGBTフレンドリー

  • 取引態様: 仲介

  • 保証会社: 利用必須(総賃料の100%)


 

民泊適正評価

 

 

この物件の民泊適性は、「駅徒歩1分」という最強の立地と、「賃料30万円&築54年」という重い現実の狭間で揺れ動きます。夢だけでは稼げません。

 

【メリット(可能性)】

  • 圧倒的な駅徒歩1分: これは何よりも強力な武器です。都営三田線一本で都心部(大手町、日比谷、目黒方面)へ直結するため、ビジネス客や都心観光の拠点としても非常に魅力的です。この利便性は、集客の大きな強みとなります。

  • 広々とした88平米の3LDK: 大人数のグループやファミリー層をターゲットにできるため、高単価を設定しやすいでしょう。複数ベッドの配置も容易で、プライベート空間も確保しやすいです。

  • 民泊・事務所・店舗等相談可: 多様な用途への対応を最初から承諾しているため、民泊運営への理解があり、契約時のトラブルリスクが低いのは安心材料です。

  • 設備が充実: システムキッチン、IHクッキングヒーター、バストイレ別、洗面所独立など、生活に必要な基本的な設備が揃っており、入居後の大規模な改修費用を抑えられる可能性があります。

【デメリット(要注意点)】

  • 賃料が異常に高額 (月額30万円): これが最大の、そしてほぼ唯一の決定的なデメリットです。年間360万円の固定費は、たとえ東京の駅徒歩1分でも、民泊として回収するのは至難の業です。この家賃を宿泊費だけで賄うには、年間を通して極めて高い稼働率と、それに伴う非常に高い平均単価を維持し続けなければ、利益は出ないどころか、赤字確定です。

  • 築54年という築年数: 「設備が充実」とあっても、築54年のマンションは、配管の老朽化、断熱性の低さ、共用部の古さ、水回りのカビや汚れやすさなど、目に見えない劣化のリスクを抱えています。ゲストからの「古い」「清潔感がない」といった低評価につながる可能性が高く、改修やメンテナンスに予想外の費用がかかる可能性があります。

  • 板橋区志村三丁目の認知度: 駅徒歩1分とはいえ、志村三丁目は観光客にとってのメジャーなエリアではありません。都心へのアクセスは良いものの、「志村三丁目に泊まりたい」という強い動機付けがなければ、ただ便利なだけの駅チカ物件に埋もれるリスクがあります。

  • 保証金・礼金が高額: 礼金30万円、保証金30万円と、初期費用だけで既に60万円(家賃を除く)が必要です。これに加えて家具家電やリノベーション費用がかかるため、初期投資は莫大になります。

  • 管理の難しさ: 駅徒歩1分という立地は、日々の清掃や管理、トラブル対応の迅速性を求められます。自己管理で人件費を抑えるにしても、かなりの労力と時間を要するでしょう。


 

契約前に確認するポイント

 

 

この物件で民泊運営を検討するなら、「駅チカ」という甘い言葉に惑わされず、以下の現実的な確認作業が不可欠です。

  1. 民泊許可の具体的な条件と手続き:

    • 東京都における民泊のルール(住宅宿泊事業法、特区民泊、簡易宿所など)を確認し、この物件でどの形態での許可取得が可能か、必要な要件(消防設備、防音対策など)を明確にする。特に、築54年というマンションで簡易宿所を許可するのは、大規模な改修が必要となる場合があります。

    • 近隣住民への説明義務や、マンション管理規約で民泊が明確に許可されているか(「相談可」の範囲と具体的内容)を徹底的に確認する。

  2. 築年数を踏まえた物件の詳細な状態確認と改修費用:

    • 内見時には、水回り(キッチン、浴室、トイレ)の老朽化、配管、窓の断熱性、壁や床の傷みなどを徹底的にチェックし、必要となる改修費用を見積もる。特に「バストイレ別」「洗面所独立」でも、古い設備ではゲストの満足度が得られない可能性があります。

    • 民泊として必要な家具家電、ベッドの設置費用なども含む、初期投資総額を正確に把握する。

  3. 周辺地域の民泊市場調査:

    • 都営三田線沿線や板橋区内で、同規模の民泊施設がどの程度の料金で、どの程度の稼働率で運営されているかをAirbnb、Booking.comなどのOTAサイトで徹底的にリサーチする。

    • 主要観光地へのアクセス時間と乗り換えの有無を考慮し、この物件の「都心からの距離」がゲストにどう影響するかを分析する。

  4. ランニングコストの精査:

    • 家賃30万円以外に、電気代、ガス代、水道代、インターネット代、消耗品費、清掃費、リネン交換費、保険料、税金など、あらゆるランニングコストを詳細にシミュレーションし、年間総支出を把握する。


 

周辺地域の平均稼働率

 

 

都営三田線沿線は、都心へのアクセスは良好ですが、観光地としての認知度は高くありません。そのため、観光目的のゲストにとっては「経由地」となることが多く、宿泊施設としての第一選択肢にはなりにくい傾向があります。

  • ビジネス需要: 都心への通勤アクセスが良いことから、ビジネス目的の長期滞在需要は期待できますが、それにはホテルやビジネスホテルの競合が激しいです。

  • ファミリー/グループ需要: 広々とした空間はファミリーやグループに魅力的ですが、東京には他にも多くの民泊施設があり、特に中心部にも大人数対応の物件が増えているため、差別化が必須です。

具体的な稼働率データはありませんが、この立地で年間平均70%以上の高稼働を維持することは、並大抵のことではありません。 特に、閑散期や平日の稼働率をどう埋めるかが大きな課題となるでしょう。東京だからといって安易に高稼働を期待するのは危険です。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

月額賃料30万円、年間で3,600,000円という家賃は、一般的な地方都市の年間売上目標に匹敵する、途方もない固定費です。この金額を回収し、さらに利益を出すのは、まさに綱渡りです。

【仮定】

  • 平均宿泊単価: 1泊40,000円(88平米3LDKで高単価設定、東京価格)

  • 想定稼働率: 年間50%(駅徒歩1分という立地を最大限に活かせた場合の、やや楽観的な目標)

【粗い試算】

  • 年間売上: 40,000円 × 365日 × 50% = 7,300,000円

  • 年間粗利益: 7,300,000円(売上) - 3,600,000円(家賃) = 3,700,000円

ここから、さらに以下の経費が差し引かれます。

  • 清掃費: 88平米の広さと高単価を維持するため、1回あたり8,000円~15,000円はかかるでしょう。稼働率50%なら年間約180回 × 10,000円 = 1,800,000円。

  • 光熱費・水道代・ガス代: 広さがあるため、月額30,000円~50,000円は覚悟すべきです。年間360,000円~600,000円。

  • 予約サイト手数料: 売上の15~20% = 約1,095,000円~1,460,000円。

  • 消耗品費: (アメニティ、リネン交換費、補修費など)月額20,000円~40,000円 = 年間240,000円~480,000円。

  • その他: 損害保険料、修繕費積立(築54年物件は必須)、税金など。

  • もし管理代行業者に委託する場合は、さらに売上の20%~30%の手数料が加算されます。

これらの費用を差し引くと、3,700,000円の粗利益は、清掃費と予約サイト手数料だけで大半が消え、光熱費や消耗品費を考慮すれば、年間で数百万円単位の赤字に転落する可能性が極めて高いことがお分かりでしょうか。月額30万円という家賃は、民泊事業においては極めてリスクの高い挑戦と言わざるを得ません。

 

 

想定利益が低い場合の改善アイデア

 

 

この物件で利益を出すには、並大抵の努力では不可能です。以下のアイデアを参考に、徹底的な差別化と効率化を図る必要があります。

  1. 超高単価・超高稼働を目指す究極の差別化:

    • 「駅徒歩1分」を最大限に活用したコンセプト: ビジネス層向けの高級ワーケーション施設、あるいは都心イベント参加者向けの大人数対応ラグジュアリースペースなど、特定のニーズに特化し、相場を大きく超える宿泊料金を設定する。

    • 内装と設備への徹底的な投資: 築54年を感じさせない、モダンで快適な空間にフルリノベーションする。デザイン性の高い家具、最新の家電(スマートスピーカー、大型テレビなど)、高速Wi-Fi、快適なベッドなどを完備し、「滞在そのものが目的」となるような体験を提供する。

    • ホテルライクなサービス: ハイクラスな清掃、高品質なリネン、アメニティの充実、24時間対応可能なコンシェルジュサービスなどを提供し、高額な宿泊料金にふさわしい顧客体験を創造する。

  2. ターゲット層の再検討と複合的な利用:

    • 長期滞在のビジネス客: 数週間~数ヶ月単位で滞在するビジネスパーソンをターゲットにし、マンスリーマンションやサービスアパートメントとしての利用も並行して検討する。

    • 富裕層の家族・グループ: 海外からの高単価インバウンド客や、国内の複数家族での旅行など、費用を惜しまない層を狙う。

    • 他事業との組み合わせ: 一部を事務所として利用し、残りを民泊にするなど、賃料負担を分散させる方法も検討する。シェアハウスとしての利用も選択肢の一つ。

  3. 徹底したコスト管理と自己管理の追求:

    • 清掃やリネン交換、簡単なメンテナンスは可能な限り自力で行い、人件費を極限まで抑える。

    • 光熱費を抑えるため、省エネ家電の導入やスマートホーム化、ゲストへの節電啓発を徹底する。

    • 消耗品は大量仕入れや安価なルートを模索し、コストを最小限に抑える。

  4. 積極的なプロモーションとブランディング:

    • プロのカメラマンによる写真撮影と動画制作で、物件の魅力を最大限に引き出す。

    • ターゲット層に響くSNSマーケティング、ブログ記事作成、ウェブサイト構築を行う。

    • 特定の旅行代理店や企業の福利厚生制度と提携し、安定した予約経路を確保する。

この物件は、東京の駅徒歩1分という稀有な立地と広さを持つ一方で、月額30万円という途方もない家賃と築54年という築年数が重くのしかかります。安易に「駅チカだから儲かるだろう」と飛び込めば、確実に赤字に転落し、高額な初期費用とランニングコストに苦しむことになるでしょう。並外れた資金力と、緻密な事業計画、そして徹底的な差別化戦略がなければ、この物件での民泊事業は、夢物語で終わる可能性が極めて高い、非常にリスキーな挑戦です。