· 

札幌市中央区山鼻エリアの民泊可能物件、本当にファミリータイプで高収益を狙えるのか?

物件情報

 

 

札幌市中央区山鼻エリアに位置する、民泊運営利用可能な賃貸マンションです。

  • 物件名: 【民泊運営利用可能賃貸・札幌市中央区】山鼻エリアのファミリータイプ部屋!市電停留所徒歩圏内! (投稿ID : 1iuwbc)

  • Jmty掲載URL: https://jmty.jp/hokkaido/est-hou/article-1iuwbc

  • 所在地: 北海道札幌市中央区(詳細はお問い合わせ)

  • 構造: 鉄骨造4階建て

  • 賃料: 67,000円

  • 管理費等: 3,000円

  • 敷金/礼金: 不明(記載なし)

  • 間取り/面積: 2LDK / 約42平米

  • 階建: 4階建て(所在階不明)

  • 建築年数: 築35年

  • 交通: 市電中央図書館前停留所 徒歩約4分、市電ロープウェイ入口駅も利用可能

  • 特記事項: 民泊利用・転貸利用オーナー承諾済み、運営代行業者の指定なし、敷地内駐車場空きあり(要確認)


 

民泊適正評価

 

 

この物件が民泊に適しているか否か、冷徹な目で評価します。魅力的な言葉の裏に隠された、収益を圧迫する可能性もしっかり見極めましょう。

 

【メリット(可能性)】

  • 民泊・転貸承諾済み: これは何よりも大きいメリットです。後々のトラブルを避け、安心して運営準備を進められます。

  • 比較的安価な賃料: 月額7万円(管理費込み)は、札幌市中央区の2LDKとしては抑えられた価格帯と言えるでしょう。固定費が低い分、利益を出しやすい構造にはなり得ます。

  • ファミリータイプの間取り: 2LDKで「8~10名宿泊可能」というのは、ベッドの配置次第ではありますが、大人数グループやファミリー層をターゲットにできる可能性があります。客単価を上げやすいのは事実です。

  • 市電停留所至近: 徒歩4分はアクセスとして許容範囲です。市電一本で「すすきの」や「大通」といった中心部へ行けるのは魅力的。

  • 敷地内駐車場あり: レンタカー利用のゲストを取り込めるのは大きな強みです。札幌観光ではレンタカー利用者が多いため、集客に貢献するでしょう。

【デメリット(要注意点)】

  • 築35年という古さ: いくらリフォーム可能とはいえ、築35年の物件は水回りや断熱性、設備劣化のリスクを抱えています。初期のリフォーム費用はもちろん、将来的な修繕費用も考慮に入れる必要があります。古い物件であることを理由に、ゲストから低評価を受けやすいリスクも無視できません。

  • 「8~10名宿泊可能」の現実: 42平米の2LDKで8~10名というのは、かなり詰め込む印象です。ゲストが快適に過ごせる広さなのか、窮屈に感じさせない工夫が必要です。定員を欲張ると、かえって満足度が下がり、レビューに悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 山鼻エリアの集客力: 市電で中心部へのアクセスは良好ですが、「山鼻」自体が観光のメインエリアではありません。物件までの道のりに魅力的な施設があるか、周辺の治安、夜間の雰囲気をしっかり確認する必要があります。単に「アクセス良好」だけでは、他の物件に埋もれる可能性があります。

  • 「詳細はお問い合わせ下さい」の多さ: 所在地詳細や敷金・礼金が不明確なのは、契約前に余計な手間がかかることを示唆しています。透明性の欠如は、初期段階で不信感につながることもあります。


 

契約前に確認するポイント

 

 

この物件で民泊運営を検討するなら、以下の厳しい現実と向き合うための確認作業が不可欠です。

  1. 民泊としての許認可形態の確認: 「民泊利用・転貸承諾済み」とはありますが、具体的にどの法律(住宅宿泊事業法、簡易宿所、特区民泊など)に基づく許可取得が可能か、賃貸借契約でその運営形態が明記されるかを確認しましょう。必要な手続き、費用、そして運営上の制約(年間日数制限など)を把握しておくことは必須です。

  2. 築年数を踏まえた設備の状態とリフォーム費用: 現状の設備(特に水回り、空調、給湯器)が民泊利用に耐えうるか、またゲストの期待に応えられるかを確認。もし交換や改修が必要な場合は、その見積もりを複数社から取得し、初期投資額を正確に算出しましょう。

  3. 内装デザインと家具家電の選定: 「8~10名宿泊可能」を目指すなら、ベッドの配置や収納、ダイニングスペースなど、動線を考慮した効率的なレイアウトが求められます。また、洗濯機や乾燥機、キッチン設備など、長期滞在やファミリー層に対応できる設備投資も必要です。

  4. 冬季の暖房費と除雪の確認: 札幌の冬は厳しく、暖房費は無視できない運営コストです。特に古い物件の場合、断熱性が低いと光熱費が跳ね上がります。また、敷地内駐車場があるなら除雪は誰が、どう行うのか、費用負担はどうなるのかも確認すべきです。

  5. 周辺競合物件の徹底調査: 山鼻エリアだけでなく、札幌市中央区全体の民泊の稼働率、平均単価、予約状況をOTAサイト(Airbnb, Booking.comなど)で徹底的にリサーチしてください。特にファミリー向け物件の需給バランスは重要です。


 

周辺地域の平均稼働率

 

 

札幌市中央区は観光客が多く、一見稼働率が高そうに見えますが、民泊物件も非常に多いため、競争は激化しています。山鼻エリアは中心部から少し離れるため、高稼働を維持するには工夫が必要です。

具体的な数値は日々変動するため一概には言えませんが、観光シーズン(雪まつり、夏祭り、紅葉シーズンなど)は高稼働が期待できる一方で、オフシーズンは大きく落ち込む傾向にあります。特に、この物件がターゲットとするであろうファミリー層は、ホテルや他の大型民泊施設と比較検討することも多いため、単なる「広さ」だけでは差別化が難しいでしょう。

目安として、年間平均で60%以上の稼働率を維持できれば良い方、80%を超えれば成功と言えるでしょう。しかし、築35年という点や、中心部から微妙な距離であることを考えると、相当な努力なしに高稼働を維持するのは困難です。

 

 

運営した場合の想定年間利益

 

 

賃料と管理費を合わせて月額70,000円。年間で840,000円が固定費としてかかります。この金額を回収し、さらに利益を出すには、どれだけの売上が必要か考えてみましょう。

【仮定】

  • 平均宿泊単価: 1泊あたり15,000円(8~10名で宿泊した場合、これくらいは欲しい)

  • 想定稼働率: 年間50%(現実的な目標として)

【粗い試算】

  • 年間売上: 15,000円 × 365日 × 50% = 2,737,500円

  • 年間粗利益: 2,737,500円(売上) - 840,000円(家賃・管理費) = 1,897,500円

しかし、ここからさらに以下の費用が差し引かれます。

  • 清掃費: 1回あたり5,000円~10,000円(ファミリータイプで大人数対応の場合高め)。稼働率50%なら年間約180回 × 7,000円 = 1,260,000円。

  • 予約サイト手数料: 売上の15~20% = 約410,000円~540,000円

  • 光熱費・水道代・インターネット代: 月額20,000円~40,000円(冬季は跳ね上がる)= 年間240,000円~480,000円

  • 消耗品費: (アメニティ、リネン交換費、補修費など)月額10,000円~20,000円 = 年間120,000円~240,000円

  • その他: 損害保険料、修繕費積立、税金など

上記を差し引くと、1,897,500円の粗利益はあっという間に消え去り、むしろ赤字に転落する可能性が高いことがお分かりでしょうか。特に清掃費と光熱費は無視できないランニングコストです。運営代行業者に委託する場合は、さらに売上の20~30%の手数料が加算されます。

月額7万円という賃料は魅力的ですが、ファミリータイプで8~10名収容可能な施設として十分な設備投資と、それに見合う高単価・高稼働率を常に維持できなければ、この物件で安定した利益を出すのは極めて難しいと言わざるを得ません。

 

 

想定利益が低い場合の改善アイデア

 

 

もし上記のシミュレーションで利益が厳しいと感じたら、以下の改善策を検討してください。ただし、これらもまたコストや労力を伴います。

  1. 徹底的なコンセプト作りと差別化:

    • 「札幌でしかできない体験」を訴求: スキー・スノボ用品の貸し出し、冬季の防寒具サービス、近隣の温泉情報提供など、北海道ならではのアクティビティと結びつける。

    • ターゲットを絞る: 無理に大人数を狙わず、小さな子供連れのファミリーに特化し、ベビー用品(ベビーベッド、ハイチェアなど)を充実させる。あるいは、長期滞在のビジネス客向けに、快適なワークスペースを提供する。

    • 内装デザインの刷新: 築年数を感じさせない、清潔感と温かみのある北欧風や和モダンなどのテーマを設定し、SNS映えする空間を作る。プロのカメラマンによる写真撮影は必須です。

  2. 運営の効率化とコスト削減:

    • 清掃の効率化: 信頼できる清掃業者を見つける、あるいは可能な範囲で自己清掃を取り入れることでコストを削減する。

    • スマート化の推進: スマートロック、スマートチェックインシステムを導入し、鍵の受け渡しやゲスト対応の手間を削減。

    • リネン類の最適化: ゲストごとに交換するリネンを工夫し、洗濯頻度やコストを抑える。

    • 徹底した節電・節水対策: 省エネ家電の導入、ゲストへの節電・節水協力の呼びかけなど。

  3. 複数プラットフォームでの集客とダイレクト予約の促進:

    • Airbnbだけでなく、Booking.com、Agoda、じゃらんnetなど、国内外の主要OTAに広く登録し、露出を増やす。

    • 自身のウェブサイトやSNSアカウントを開設し、OTA手数料のかからないダイレクト予約を促進する。リピーター獲得にもつながります。

  4. ウィークリー・マンスリー利用の並行検討:

    • 民泊の稼働が低い時期や、長期の空室が出た場合に、ウィークリーマンションやマンスリーマンションとして貸し出すことを検討する。固定収入を確保し、リスクを分散できます。ただし、賃貸借契約上でこれが可能か、物件管理会社に改めて確認が必要です。

この物件は、賃料の安さと民泊可能という点で可能性を秘めていますが、築年数の課題、大人数収容の難しさ、そして札幌市場の競争の激しさを考えると、生半可な気持ちで運営すればすぐに赤字転落するでしょう。徹底的な市場調査と、明確なコンセプト、そしてコスト管理を怠らないことが、成功への唯一の道です。