物件情報
小樽市若竹町に位置する、DIYと民泊運営が可能な古民家です。海が見えるロケーションが魅力とされています。
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物件名: DIYして民泊やってみませんか? 小樽市若竹町 (投稿ID : 1hn7kg)
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所在地: 北海道小樽市若竹町
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最寄駅: JR函館本線(小樽~旭川) 小樽築港駅(徒歩距離不明)
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家賃: 3.9万円
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管理費等: なし(記載なし)
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ジャンル: 一戸建て
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敷金/礼金: 1ヶ月分 / なし
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間取り/面積: 4LDK以上 / 79.06㎡
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階建: 2階建
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建築年数: 築63年
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特記事項: 民泊運営可能、DIY可、海が見える、駐車場複数台あり、床の傾きなど修繕箇所多数、オーナーが直接賃貸(仲介手数料不要)、保証会社・火災保険必須
民泊適正評価
この物件の民泊適性を評価する上で、最大の焦点は「DIYと築63年」です。家賃の安さという麻薬に騙されないように、冷静な判断が求められます。
【メリット(可能性)】
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民泊運営可能: オーナーが民泊運営を許可している点は非常に重要です。法的な制約をクリアしやすいのは大きな利点です。
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家賃が破格の安さ: 月額3.9万円という家賃は、固定費を極限まで抑えられるため、後の大規模なリノベーション費用を考えれば、この点は非常に魅力的です。
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DIY可(自由度が高い): 自分の思い描く民泊施設を自由に創造できるのは、DIY好きにはたまらないでしょう。コンセプトを際立たせた施設にできれば、集客の強みになります。
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4LDK以上 / 79.06㎡: ファミリーやグループでの宿泊に対応できる広さがあります。人数を多く収容できれば、客単価も上げやすくなります。
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海が見えるロケーション: 写真映えする景色は、SNSなどでの宣伝効果が期待できます。
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駐車場複数台: レンタカー利用のゲストを取り込めるのは強みです。小樽観光では車移動も多いため、重要なポイントです。
【デメリット(要注意点)】
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築63年と「修繕箇所多数」の現実: ここが最大の地雷です。「床の傾き」という時点で、単なる内装だけでなく、構造的な問題や、基礎、配管、電気配線、屋根、外壁など、あらゆる箇所の大規模な修繕が必要となる可能性が極めて高いです。DIYできる範囲を遥かに超える専門的な工事が必要な場合、その費用は数百万~1000万円以上に膨れ上がることも珍しくありません。家賃の安さは、この修繕費用によってあっという間に吹き飛ぶでしょう。
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「当方で修繕はいたしません」という冷徹な姿勢: オーナーは完全にノータッチです。物件の全てのリスクと費用は借り主が負う、ということを明確に示しています。これは、素人が安易に手を出すと、泥沼にはまる可能性が高いことを意味します。
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JR小樽築港駅からのアクセス: 徒歩何分か不明ですが、「若竹町」の場所によっては駅から離れている可能性もあります。観光客は小樽駅周辺や運河エリアを拠点にすることが多いため、小樽築港駅からさらに距離があると、集客面で不利になるかもしれません。
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初期費用の落とし穴: 仲介手数料は不要なものの、敷金1ヶ月分、火災保険料、保証会社保証料(家賃1ヶ月分程度)、前家賃と、DIYやリノベーション費用以外に20万円前後の初期費用は必要です。
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冬の北海道、古民家の課題: 築63年の古民家は、断熱性が極めて低い可能性があります。冬の暖房費は想像以上に高額になるでしょう。また、雪国の除雪費用や手間も考慮に入れる必要があります。
契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営を真剣に検討するなら、以下の厳しい現実を直視し、徹底的な事前調査が不可欠です。
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物件の徹底的な「現状調査」と「修繕費用」の見積もり:
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素人判断は絶対にNG。建築士やリフォーム業者など、複数の専門家を必ず現地に同行させ、構造(床の傾き原因、耐震性)、インフラ(電気・ガス・水道・排水)、屋根、外壁、断熱性、水回り設備の状態を詳細に診断してもらう。
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民泊として宿泊客を受け入れるに足るレベルまで改修するのに、具体的にどのくらいの費用と期間がかかるかを、詳細な見積もりで把握する。この費用が、この物件を借りるかどうかの最終的な判断基準になるでしょう。
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民泊運営に必要な消防設備やバリアフリー対応(もし必要なら)の費用も見積もりに含めること。
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法的な確認と許可取得の見込み:
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小樽市における民泊のルール(住宅宿泊事業法、簡易宿所など)を詳細に確認し、この古民家でどの形態での許可取得が可能か、必要な条件(構造、設備など)を行政書士や行政機関に相談する。築年数が古い場合、簡易宿所の許可取得は非常にハードルが高い場合があります。
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立地と集客の可能性:
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小樽築港駅から物件までの実際の所要時間と、周辺の利便施設(コンビニ、スーパー、飲食店、観光スポット)へのアクセスを実際に歩いて確認する。
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小樽全体の民泊の競合状況、特に古民家やファミリー向けの物件の稼働率、平均宿泊単価を徹底的に調査する。
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冬季の対策と費用:
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暖房設備の設置費用と、冬期の光熱費の概算を算出する。
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除雪費用、除雪の手間や体制についても確認する。
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周辺地域の平均稼働率
小樽は年間を通して国内外から観光客が訪れる人気の観光地であり、民泊需要も高い地域です。しかし、運河周辺や小樽駅近郊に比べて、若竹町は観光の中心地からはやや離れているため、単に「小樽」というだけで高稼働を期待するのは危険です。
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観光客のニーズ: 多くの観光客は、運河やガラス工芸、寿司など、中心部の観光とグルメを目的としています。若竹町が提供できる「海が見える景色」以外の具体的な魅力がなければ、他の物件に埋もれる可能性があります。
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競合の激化: 小樽市内には、すでに多くのホテルや民泊施設が存在します。特にDIY物件は差別化が難しい面もあります。
具体的な稼働率データは開示されていませんが、一般的に、駅や主要観光スポットから離れた物件は、シーズン中以外は稼働率が伸び悩む傾向にあります。年間平均で50%以上の稼働率を目標とするならば、相当な努力と差別化が必要となるでしょう。
運営した場合の想定年間利益
家賃は月額3.9万円と破格の安さ。年間でも468,000円と、固定費は驚くほど低いです。しかし、この数字だけを見て「儲かる」と判断するのは愚かです。
【リノベーション費用の呪縛】
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「床の傾きなど修繕箇所は多々」と明記されている築63年の古民家を民泊として運営できるレベルにするには、最低でも数百万円、状況によっては1,000万円を超えるリノベーション費用がかかることを覚悟してください。
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例えば、仮に700万円のリノベーション費用がかかったとします。この費用を10年で回収するとしても、年間70万円が経費として加算される計算です。家賃(46.8万円)と合わせると、固定費は年間116.8万円となります。
【仮定】
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平均宿泊単価: 1泊15,000円(DIY物件で個性と広さをアピールし、高単価を設定できた場合)
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想定稼働率: 年間40%(小樽築港からの距離と築年数を考慮した現実的な目標)
【粗い試算】
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年間売上: 15,000円 × 365日 × 40% = 2,190,000円
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年間粗利益(家賃控除後): 2,190,000円 - 468,000円(家賃) = 1,722,000円
ここからさらに、以下の費用が差し引かれます。
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清掃費(1回あたり5,000円~8,000円程度)、消耗品費、光熱費・水道代・インターネット代(冬季は高額)、予約サイト手数料(売上の15%~20%)、損害保険料、税金など。
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そして、先述の**リノベーション費用償却分(年間70万円)**も忘れてはなりません。
これらの費用を差し引くと、1,722,000円の粗利益は、リノベーション費用回収分だけで半分以上が消え、その他ランニングコストで利益はほとんど残らない、あるいは赤字に転落する可能性が極めて高いでしょう。家賃の安さは、大規模な初期投資という名の「隠れ負債」の前には無力です。
想定利益が低い場合の改善アイデア
それでもこの「古民家DIY民泊」のロマンに賭けたいなら、以下の点を徹底してください。
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セルフDIYの限界を理解し、プロの力も活用する:
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床の傾きなど構造に関わる部分は、素人DIYでは限界があります。必ず専門業者に依頼し、安全性と耐久性を確保する。
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水回りや電気配線なども、専門業者に依頼し、ゲストが快適かつ安全に利用できる設備を整える。
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DIYはあくまで内装の仕上げや家具製作など、コストを抑えつつ個性を出す部分に限定すべきです。
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圧倒的なコンセプトと体験価値の提供:
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「古民家」を単なる古い家ではなく、「歴史と趣きを感じる小樽の宿」としてブランディングする。
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海が見えるロケーションを最大限に活用し、テラスやルーフトップ、大きな窓などから絶景を堪能できる空間を創出する。
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小樽の歴史や文化に触れられるような展示、地元のおすすめ情報を提供するなど、ガイドブックにはない「体験」を付加する。
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冬季には、暖炉や薪ストーブを設置するなど、雪国の古民家ならではの魅力を追求し、オフシーズンの集客を狙う。
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ターゲット層の明確化と絞り込み:
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「DIY古民家」という特性上、万人受けは難しい。古民家ステイやDIY体験に関心のある層、写真好きの層、歴史好きの層など、ニッチなターゲットに絞り込み、彼らに響く情報発信を行う。
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グループやファミリー層をメインターゲットとし、高単価・高稼働を目指す。
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徹底的な情報発信とファン作り:
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リノベーションの過程をブログやSNSで公開し、オープン前から物件への興味や期待感を醸成する。
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開業後は、物件の魅力を写真や動画で積極的に発信し、SNS映えを狙う。
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リピーター割引や紹介制度を設けるなど、一度訪れたゲストをファンにする施策を講じる。
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この小樽の古民家は、安価な家賃で「夢のDIY民泊」という甘い囁きをしますが、その実態は「超高難度DIY」と「莫大な初期費用」という現実を突きつけます。安易な気持ちで手を出すと、桜島ではなく、無情な赤字の数字があなたを見つめることになるでしょう。真剣に取り組む覚悟と資金がなければ、この物件は手を出してはいけない「古民家」です。