物件情報
以下は今回診断する物件の概要です。
-
物件名: 香川県さぬき市津田町津田 讃岐津田駅 貸その他
-
掲載元: OCN不動産
-
住所: 香川県さぬき市津田町津田
-
最寄り駅: JR高徳線 讃岐津田駅 徒歩10分
-
賃料: 45,000円
-
管理費等: - (なしと仮定)
-
敷金/礼金: なし / なし
-
保証金/敷引・償却金: なし / -
-
使用部分面積: 193.45㎡(約58.5坪)
-
土地面積: 176.3㎡(約53.3坪)
-
種別・構造: 貸その他・木造2階建(1棟貸し)
-
建物名: 津田店舗併用住宅
-
築年月(築年数): 1978年6月 (築47年2ヶ月)
-
特記事項:
-
民泊、法人寮にも利用できます。
-
現状渡しで。DIYも自由に行ってください。
-
※現状、リフォームは行っていません。入居者が自身により自由にリフォームを行っていただければ一番有難いです。もしリフォームを委託希望の方がいれば弊社にて希望箇所のリフォーム後、賃貸も可能です。
-
飲食店可
-
バス・トイレ別・収納スペース・洗濯機置場・シャワー・エアコン・給湯
-
プロパンガス・駐輪場・バイク置き場(無料)
-
ペット可(小型犬1匹・猫の場合要相談)
-
駅からの道のりに22時まで営業のマルナカ津田店あり(物件から200m)。
-
津田の松原にも近い。
-
適格請求書発行可
-
現況空、即時引渡可能
-
契約期間3年
-
-
初期費用: 敷金・礼金・保証金なし、初回保証委託金45,000円、年間保証委託金10,000円、保険要2年17,000円、退去時クリーニング費用50,000円
-
契約期間: 3年
詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細
民泊適正評価:圧倒的低コストとDIYの自由が魅力、しかし「現状渡し」の代償は大きい
この物件の民泊適正は「地方で、超低コスト・DIYを最大限に活用して、ニッチな層向けの個性的な民泊を運営したい超上級者向け」と評価します。「DIY自由」という点に魅力を感じる方にとっては、唯一無二の物件となり得ます。
【メリットとして期待できる点】
-
破格の賃料と初期費用: 月額4.5万円という賃料は、193.45㎡(約58.5坪)という広さから考えると驚異的な安さです。さらに敷金・礼金・保証金が全て「なし」であり、初期の現金支出を極限まで抑えられます。これは、事業リスクを大幅に低減できる最大のメリットです。
-
「民泊利用できます」という明確な許可: これにより、法的なハードルが低く、新規参入者でもスムーズに事業を始められる可能性が高いです。
-
DIYの自由度: 「現状渡しで。DIYも自由に行ってください。」という条件は、内装や設備を自分のコンセプトに合わせて自由にカスタマイズできることを意味します。これにより、唯一無二の個性的な民泊を作り上げることが可能です。
-
広大な面積と1棟貸し: 約58.5坪という広さは、大人数のグループやファミリー層、複数世代での旅行にも対応できます。1棟貸しのため、プライバシーを重視するゲストにも訴求できます。
-
駅徒歩10分と生活利便性: 讃岐津田駅から徒歩10分、さらにマルナカ津田店まで200mという立地は、公共交通機関でのアクセスと日々の買い物に便利です。
-
ペット可: 「小型犬1匹・猫の場合要相談」という条件は、ペットと一緒に旅行したいというニッチな需要を取り込める可能性があります。
-
飲食店可: 元々店舗併用住宅だったため、カフェや食堂などを併設した民泊施設として、新たな収益源を確保する可能性も秘めています。
-
用途地域「無指定」: ビジネスの自由度が高い可能性があります。
【致命的な欠点】「現状渡し」という言葉に隠された莫大な改装費用と地方の集客力 破格の賃料の裏には、深刻な課題が潜んでいます。
-
築47年2ヶ月の「現状渡し」: 「リフォームは行っていません」と明記されており、居住空間・宿泊施設として機能させるためには、水回り(バスルーム、トイレ、キッチン)の全面改修、電気配線、給排水設備の確認・改修、内装(壁、床、天井)の全面刷新、断熱工事など、莫大な費用と労力、そして専門知識が必須となります。自己資金での大規模なDIYや、工務店への依頼費用は、賃料の安さをはるかに超える可能性があります。
-
地方都市の集客力: 香川県は観光地ですが、さぬき市津田町は高松市や小豆島、直島などの主要な観光地から離れています。JR高徳線もローカル線であり、観光客の主要な移動ルートとは言えません。集客にはターゲット層を明確にし、強力なプロモーション戦略が必要です。
-
プロパンガス: 都市ガスに比べて光熱費が高くなる傾向があります。
-
契約期間3年: 大規模な改装費用を投じる場合、3年という期間は回収には短すぎます。更新の可能性や条件を事前に確認する必要があります。
契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営に踏み切るなら、以下の点を徹底的にクリアにしてください。
-
「現状渡し」の範囲と、改装費用の詳細な見積もり:
-
最重要事項です。 内覧時には、必ず建築士やリフォーム業者を帯同し、建物の構造、水回り(配管の状態、浴室・トイレの数と状態)、電気容量、屋根や外壁の状態、耐震性などを徹底的にチェックする。
-
民泊として必要な機能(ベッドスペース、水回り、消防設備など)を満たすための全ての改修費用を複数社から見積もりを取り、自身のDIYで賄える範囲と、業者に依頼する範囲を明確にする。改装費用は数百万円〜1,000万円以上となる可能性も考慮に入れること。
-
「もしリフォームを委託希望の方がいれば弊社にて希望箇所のリフォーム後、賃貸も可能です」という記載について、具体的にどのようなリフォームが可能か、賃料への上乗せや初期費用への転嫁はどの程度になるかを貸主と綿密に交渉し、書面で取り交わす。
-
-
民泊許可の種類と香川県・さぬき市の条例確認:
-
「民泊、法人寮にも利用できます」という記載について、住宅宿泊事業法(年間180日制限)での許可を想定しているのか、旅館業法(簡易宿所など)での許可も可能か、貸主の意向を確認する。
-
**香川県およびさぬき市の民泊・旅館業に関する条例や規制を、事前に自治体(保健所、観光課など)に問い合わせ、許可取得の条件、必要な工事、年間営業日数制限などを具体的に確認する。**特に築古物件での消防法への適合は重要です。
-
-
周辺地域の観光需要と競合分析:
-
さぬき市津田町の観光客の動向、特に長期滞在やファミリー層のニーズをリサーチする。
-
周辺の宿泊施設(ホテル、他の民泊)の料金帯、稼働率、ターゲット層を分析し、この物件がどのような層(例: DIY体験希望者、ペット連れ旅行者、香川の自然やうどん巡り、しまなみ海道利用者など)に響くのか、具体的なターゲットと、競合に勝つための明確なコンセプトを策定する。
-
-
プロパンガス料金の確認:
-
プロパンガスは供給会社によって料金が大きく異なるため、事前に料金体系を確認し、運営コストに反映させる。
-
-
契約期間3年後の更新条件:
-
契約終了後の更新の有無、更新料、更新時の賃料改定など、契約更新に関する条件を貸主と明確に確認し、書面に残す。
-
周辺地域の平均稼働率
香川県は、うどん巡りや直島などのアート観光、瀬戸内海の自然など、独自の観光資源を持つ地域です。しかし、さぬき市津田町はこれらの主要な観光地からやや離れた場所に位置します。そのため、高松市などの中心部に比べると、民泊の稼働率は劣る傾向にあります。 しかし、この物件の「1棟貸し」「DIY可能」「ペット可」「破格の賃料」という強力な個性を活かせれば、特定のニーズを持つ層(例: 地域密着型の体験を求める外国人観光客、ファミリー、ワーケーション目的の長期滞在者、ペット連れ旅行者など)にアピールでき、稼働率30%〜50%程度を目指せる可能性があります。
運営した場合の想定年間利益(極めて厳しいシナリオ)
賃料は破格ですが、「現状渡し」という条件からくる莫大な改装費用と、地方都市の集客の難しさを考えると、収益を出すのは極めて困難であり、初期の赤字リスクが非常に高いです。
-
月額賃料: 45,000円
-
年間賃料: 45,000円 × 12ヶ月 = 540,000円
-
初期費用:
-
敷金・礼金・保証金なしは大きな魅力ですが、初回保証委託金45,000円、保険2年17,000円、退去時クリーニング費用50,000円(賃料は含まず) = 112,000円
-
大規模改装費用+家具家電備品: 「現状渡し」「リフォーム行っていません」という条件を考えると、最低でも300万円〜800万円、場合によっては1,000万円以上の費用を見積もるべきです。水回り、電気、内装、断熱、消防設備など、全てに手を入れる必要があります。DIYで費用を抑えるとしても、材料費や専門業者への依頼費は高額になります。
-
合計初期現金支出(概算): 11.2万 + 300万 = 約311.2万円〜(これに加えて1ヶ月目の家賃)
-
-
平均宿泊単価: 1棟貸しの広さ(約58.5坪)と個性を活かし、1泊1組30,000円(地方での挑戦的な価格設定)
-
年間営業可能日数: 365日(旅館業許可取得を前提とした場合。民泊新法の場合180日制限)
-
想定稼働率: 40%(地方での現実的な目標値。個性を活かせれば上振れも)
-
年間想定稼働日数: 365日 × 0.40 = 146日
-
年間想定売上: 30,000円 × 146日 = 4,380,000円
ここから諸経費を差し引きます。
-
プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 438,000円
-
清掃費・消耗品費: (1回8,000円として、146回分) = 1,168,000円
-
光熱費・通信費: (プロパンガス考慮し、月3万円と仮定) = 360,000円
-
修繕積立費・その他雑費: (築47年リスク考慮し、月3万円と仮定) = 360,000円
-
年間保証委託金: 10,000円
-
運営代行費(アウトソースする場合): 売上の20-30% = 876,000円〜1,314,000円 (ここでは自力運営と仮定し含まず)
-
年間総費用(賃料含む): 540,000円 (賃料) + 438,000円 (手数料) + 1,168,000円 (清掃) + 360,000円 (光熱費) + 360,000円 (その他) + 10,000円 (保証金) = 2,876,000円
-
想定年間利益(税・初期費用回収前): 4,380,000円 (売上) - 2,876,000円 (総費用) = 1,504,000円
この計算では、年間で約150万円の黒字となりました。しかし、これは賃料の安さからくるものであり、初期投資(300万円〜800万円以上)の回収には2年〜5年以上かかる計算になります。特に、DIYによるリフォームが計画通りに進まず、追加費用が発生するリスクも考慮すると、非常に挑戦的な物件と言えます。
想定利益を増やすためのアイデア(「現状渡し」を逆手に取る戦略が必須)
この物件で安定的な利益を出すためには、「現状渡し」を最大限に活用し、個性を打ち出すことが重要です。
-
DIYのテーマ化と体験型民泊の提供:
-
ただ「DIY可能」なだけでなく、**ゲスト自身もDIYの一部に参加できるような「体験型民泊」**としてアピールする(例: 壁画制作、家具の組み立てなど)。特に海外のゲストには響く可能性があります。
-
**「DIYビフォーアフター」**を定期的にSNSで発信し、物件の成長過程を共有することでファンを獲得する。
-
内装は「未完成の美」や「クリエイターの拠点」といったコンセプトで、固定ファンを育成する。
-
-
徹底したコスト管理とニッチなターゲット設定:
-
リフォーム費用の最小化: 水回りや安全性に関する部分はプロに依頼しつつ、内装はDIYや中古品、アウトレット品を駆使して極限まで費用を抑える。
-
ターゲットを絞る: 「ペット連れ専用」「長期滞在(ワーケーション)」「サイクリスト向け(しまなみ海道が近いことを強調)」「うどん巡り拠点」「写真撮影スタジオ」など、具体的なターゲットを設定し、SNSや専門サイトでプロモーションする。
-
地域の魅力を最大限に発信: 津田の松原、地元商店街、隠れた名店など、さぬき市ならではの体験をゲストに提供し、リピーターを増やす。
-
-
多角的な収益源の確保:
-
民泊以外の空き期間に、イベントスペース、ワークショップ会場、撮影スタジオなどとして時間貸しを行う。
-
「飲食店可」を活かし、週末限定のカフェや、地元の食材を使った料理教室などを併設する。
-
-
効率的な運営体制の構築:
-
無人チェックイン・アウトシステムを導入し、人件費を抑制する。
-
清掃は徹底したマニュアル化や、地元住民との提携で効率化を図る。
-
この物件は、破格の賃料とDIYの自由度という大きなメリットを持つ一方で、築47年の「現状渡し」という条件と、地方都市での集客という大きな課題を抱えています。賃料が安いため、初期投資さえクリアできれば利益を出す可能性は十分にありますが、そのためには並々ならぬ情熱と、DIYスキル、そして明確なビジョンが求められます。
あなたは、この物件がもたらす「低コストでの開業」という機会を活かし、「大規模改装という試練」を乗り越え、**「DIYで作り上げる唯一無二の民泊」**という夢を現実のものにする覚悟がありますか?