物件情報
以下は今回診断する物件の概要です。
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物件名: 東京都足立区舎人5丁目 見沼代親水公園駅 貸店舗・事務所
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掲載元: OCN不動産
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住所: 東京都足立区舎人5丁目
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最寄り駅: 日暮里舎人ライナー 見沼代親水公園駅 徒歩4分、舎人駅 徒歩10分、舎人公園駅 徒歩23分
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賃料: 86,000円
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管理費等: - (なしと仮定)
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敷金/礼金: 1ヶ月 (8.6万円) / 1ヶ月 (8.6万円)
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保証金/敷引・償却金: なし / -
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使用部分面積: 18.48㎡(約5.6坪)
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種別・構造: 貸店舗・事務所・木造2階/2階建 (募集は最上階部分)
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築年月(築年数): 2014年1月 (築11年7ヶ月)
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特記事項:
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民泊使用できる物件が募集開始です
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最上階・耐震構造(新耐震基準)
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設備: 冷房・暖房・エアコン・給湯・バス・トイレ別・トイレ・洗濯機置場・シャワー・CATV・都市ガス・駐輪場・バイク置き場(小型のみ、月額2,000円)・室内洗濯機置き場・シャワールーム
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契約期間2年
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現況空、即時引渡可能
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初期費用: 敷金1ヶ月、礼金1ヶ月、初回保証料など
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契約期間: 2年
詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細
民泊適正評価:築浅・駅近・低賃料の好条件、しかし都心外の集客力と小規模物件の限界
この物件の民泊適正は「都心外で、低リスク・低コストで民泊を始めたい初心者〜中級者向け。ただし、集客戦略と小規模空間の活用が必須」と評価します。「民泊可」が明記されており、初期費用が抑えられる点は大きな強みです。
【メリットとして期待できる点】
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「民泊使用できる」という明確な許可: これが最大のメリットです。契約前から民泊利用が認められているため、許可取得までのプロセスがスムーズに進む可能性が高いです。住宅宿泊事業法(民泊新法)だけでなく、旅館業許可(簡易宿所など)も相談可能かもしれません。
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築浅・新耐震基準: 築11年7ヶ月と比較的築浅で、新耐震基準を満たしているため、安心して利用できます。耐震補強などの大規模な追加工事が不要な点が、初期投資を大幅に抑えられます。
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駅徒歩4分の好立地: 日暮里舎人ライナー沿線とはいえ、駅からの近さは集客面で有利です。
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比較的手頃な賃料: 月額8.6万円は、東京都内の物件としては非常に低く抑えられており、ランニングコストの負担が少ないです。
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充実した既存設備: 「バス・トイレ別、洗濯機置場、シャワールーム、エアコン、給湯」など、居住に必要な設備が揃っているため、改装費用を大幅に抑えられます。 基本的な内装工事と家具家電の設置で済むでしょう。
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最上階・角部屋: 他のテナントからの騒音影響を受けにくく、プライバシーが保たれやすいです。
【克服すべき課題】都心外の集客力と小規模物件の限界 好条件が揃う一方で、乗り越えなければならない課題も存在します。
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立地(都心外)の集客力: 足立区舎人は都心からやや距離があり、主要な観光地へのアクセスは日暮里舎人ライナーからの乗り換えが必要です。インバウンド観光客やビジネス客の主要な滞在エリアとは言えず、集客に工夫が必要になります。
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小規模な面積(18.48㎡): 約5.6坪という広さでは、提供できるベッド数や設備に限界があります。大人数のグループやファミリーでの利用は難しく、ターゲットは1〜2名に絞られるでしょう。これにより、設定できる宿泊単価も限られます。
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契約期間2年: 民泊事業を軌道に乗せるには十分な期間かもしれませんが、初期投資回収のペースによっては、更新時の条件変更や、事業撤退の可能性も考慮に入れる必要があります。
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足立区の民泊規制: 足立区は、東京都の他区に比べて民泊規制が比較的緩いエリアもありますが、用途地域によっては制限がある場合があります。事前に区役所や保健所への確認が必要です。
契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営に踏み切るなら、以下の点を徹底的にクリアにしてください。
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「民泊使用できる」の具体的な条件:
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貸主が想定している「民泊」が、住宅宿泊事業法(年間180日制限)なのか、それとも旅館業法(簡易宿所など)なのかを明確に確認する。
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足立区のどの条例・用途地域に該当し、どのような条件(営業日数制限、管理体制、近隣住民への説明など)を満たす必要があるのかを、区役所(住宅政策課、保健所)に問い合わせて確認する。
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改装の範囲と費用:
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「貸店舗・事務所」という用途からの転用であるため、既存設備があるとはいえ、宿泊施設としての内装(ベッドスペースの確保、収納など)や、消防法に準拠するための追加設備(自動火災報知設備、誘導灯など)が必要になる場合があります。内覧時に必要な工事内容を確認し、見積もりを取る。
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最低限の改装で済むようであれば、初期投資を抑えられます。
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周辺地域の競合分析とターゲット設定:
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足立区舎人周辺のホテルや他の宿泊施設の状況をリサーチし、この物件のターゲット層(例: 成田空港利用のトランジット客、都心から少し離れて静かに過ごしたい層、出張ビジネス客など)を明確にする。
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小規模物件であるため、1〜2名利用の快適さを追求したコンセプトが有効です。
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契約期間2年後の更新条件:
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契約終了後の更新の有無、更新料、更新時の賃料改定など、契約更新に関する条件を貸主と明確に確認し、書面に残す。
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周辺地域の平均稼働率
足立区は都心からのアクセスがやや劣るため、渋谷や新宿のような主要観光地の民泊稼働率(80%〜90%以上)には及ばない可能性があります。しかし、駅近であることや、近年外国人観光客の地方分散の傾向があることを考えると、集客戦略が成功すれば、稼働率50%〜70%程度を目指せる可能性があります。特に、成田空港へのアクセスが良い点をアピールできれば、トランジット需要も期待できます。
運営した場合の想定年間利益(現実的なシナリオ)
賃料が低く、改装費用も比較的抑えられるため、利益を出す可能性は十分にあります。ただし、小規模物件であるため、単価は大きく期待できません。
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月額賃料: 86,000円
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年間賃料: 86,000円 × 12ヶ月 = 1,032,000円
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初期費用:
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敷金1ヶ月(8.6万円) + 礼金1ヶ月(8.6万円) + 初回保証料(賃料の50%として4.3万円) + 仲介手数料1.1ヶ月(9.46万円) + 保険(約2万円) = 約32.96万円
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改装費用+家具家電備品: 貸店舗・事務所からの転用ですが、既存設備が充実しているため、内装工事は最小限に抑えられます。家具、家電、リネン類、消耗品、インターネット環境の整備などで最低でも100万円〜200万円程度と見積もるべきです。
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合計初期現金支出(概算): 32.96万 + 100万 = 約132.96万円〜(これに加えて1ヶ月目の家賃)
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平均宿泊単価: 小規模物件(1〜2名利用)として、1泊1組12,000円(都心外での現実的な価格設定)
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年間営業可能日数: 365日(旅館業許可取得を前提とした場合。住宅宿泊事業法の場合180日制限)
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想定稼働率: 60%(都心外での目標値)
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年間想定稼働日数: 365日 × 0.60 = 219日
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年間想定売上: 12,000円 × 219日 = 2,628,000円
ここから諸経費を差し引きます。
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プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 262,800円
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清掃費・消耗品費: (1回3,000円として、219回分) = 657,000円
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光熱費・通信費: (月1.5万円と仮定) = 180,000円
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修繕積立費・その他雑費: (築浅のため低めに見積もり、月0.5万円と仮定) = 60,000円
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運営代行費(アウトソースする場合): 売上の20-30% = 525,600円〜788,400円 (ここでは自力運営と仮定し含まず)
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年間総費用(賃料含む): 1,032,000円 (賃料) + 262,800円 (手数料) + 657,000円 (清掃) + 180,000円 (光熱費) + 60,000円 (その他) = 2,191,800円
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想定年間利益(税・初期費用回収前): 2,628,000円 (売上) - 2,191,800円 (総費用) = 436,200円
この計算では、年間で約43万円の黒字となりました。初期投資(100万円〜200万円)を回収するには、2年半〜5年程度かかる計算になります。賃料が低いため、赤字のリスクは比較的低いですが、大きな利益を出すには稼働率と単価を上げる工夫が必須です。
想定利益を増やすためのアイデア(差別化と効率化が鍵)
この物件は、小規模であることと都心外という点を踏まえ、以下の戦略で収益性を高めることを目指すべきです。
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ターゲットの明確化とコンセプト設計:
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成田空港トランジット・前泊/後泊特化型: 成田空港へのアクセス(日暮里舎人ライナーで日暮里、そこから京成線)が良い点を最大限にアピールし、フライトの前泊・後泊、またはトランジット利用のゲストをターゲットにする。深夜チェックイン・早朝チェックアウトにも対応できるよう、セルフチェックインシステムを徹底する。
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「都心に疲れた」静かな滞在希望者向け: 都心の喧騒から離れた、静かで落ち着いた環境を求めるゲストに訴求する。周辺の自然(舎人公園など)や、ローカルな飲食店情報を充実させる。
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ミニマリスト・機能性重視型: 限られた空間を最大限に活用し、シンプルで機能的な内装にこだわる。スマートロック、高速Wi-Fi、ミニキッチンなど、現代の旅行者が求める最低限の快適性を追求する。
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オンラインでの露出強化と多言語対応:
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主要な宿泊予約サイトに加え、Google Hotelsなどのメタ検索エンジンにも登録し、より多くの潜在顧客にリーチする。
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プロのカメラマンによる質の高い写真撮影と、多言語対応の物件説明文で、特にインバウンド需要を取り込む。
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徹底したコスト管理と運営の効率化:
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セルフチェックイン・アウトの徹底: 運用コストを最小限に抑えるため、対面での対応を極力減らす。
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清掃の効率化: 小型物件なので、清掃を自力で行う、または短時間で完了できるシステムを構築する。消耗品はまとめ買いでコストダウンを図る。
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SNSを活用したプロモーション: 物件の魅力を伝えるショート動画や写真を発信し、低コストで集客を図る。
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この物件は、初期投資が比較的低く抑えられ、リスクを抑えて民泊事業に参入したいと考える方には魅力的な選択肢となり得ます。しかし、都心外での集客力と、小規模物件でどこまで単価を上げられるかという課題に対し、明確な戦略と効率的な運営が成功の鍵を握るでしょう。
あなたは、この物件がもたらす「低リスクでの民泊参入」という機会を活かし、「都心外というハンデ」を乗り越え、安定した収益を上げるための「明確な戦略と効率的な運営」を行う覚悟がありますか?