物件情報
以下は今回診断する物件の概要です。
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物件名: レクシア千代崎
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住所: 大阪府大阪市西区千代崎1丁目
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最寄り駅: 大阪メトロ長堀鶴見緑地線 ドーム前千代崎駅 徒歩8分、大阪メトロ中央線 九条駅 徒歩7分、大阪メトロ長堀鶴見緑地線 西長堀駅 徒歩10分
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賃料: 137,000円
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管理費等: 10,500円
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敷金/礼金: なし / 1ヶ月分
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間取り: 1LDK(LDK11.8帖、洋室3.5帖、洋室5.6帖)
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専有面積: 36.42㎡
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方位: 北西
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種別・構造: 賃貸マンション・RC造
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築年月(築年数): 2013年11月 (築11年9ヶ月)
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所在階/階数: 2階/6階建
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特記事項:
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民泊可
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二人入居可、閑静な住宅街、管理人巡回、24時間換気システム、高齢者相談、オール電化、デザイナーズ物件、初期費用カード決済可
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バス・トイレ別、室内洗濯機置き場、エアコン、オートロック、バルコニー、追焚機能、角部屋、フローリング、浴室乾燥機、システムキッチン、モニター付インターホン、防犯カメラ、シューズボックス、光ファイバー
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初期費用: 礼金1ヶ月、鍵交換代27,500円〜、町会費400円/月、賃貸保証要(初回総賃料50%)、住宅保険あり2年15,000円
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駐車場: 近隣有 25,000円
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現況: 居住中(入居可能時期 相談)
詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細
民泊適正評価:大阪激戦区で輝けるか?
この物件は、大阪の民泊市場において「まずまずの条件だが、突出した強みはない」というのが辛口な評価です。
【メリットとして期待できる点】
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「民泊可」: これが最大のメリットであり、この許可を得るのが難しい中で大きなスタートラインとなります。
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築浅・RC造・設備充実: 築11年と比較的築浅でRC造であるため、耐震性、防音性、断熱性において木造や築古物件より優れています。オートロック、システムキッチン、浴室乾燥機など設備も充実しており、ゲストの快適性は高いでしょう。
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立地: ドーム前千代崎駅徒歩8分、九条駅徒歩7分、西長堀駅徒歩10分と複数の路線・駅が利用可能で、梅田や難波、USJ(ドーム前千代崎から1駅)へのアクセスは良好です。特に京セラドーム大阪でのイベント時には高い需要が見込めます。
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初期費用が控えめ: 敷金なし、礼金1ヶ月分は、一般的な賃貸契約と比較しても初期費用を抑えられる部類に入ります。
【懸念点(=克服すべき課題)】
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賃料の高さ: 賃料13.7万円に管理費10,500円を加えると、月額147,500円の固定費は、36.42㎡の1LDKとしては大阪市内でも決して安くありません。この賃料を回収できるだけの高単価と高稼働率を維持できるかが鍵となります。
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競争の激しさ: 大阪は日本でも有数の民泊激戦区です。同じような築浅・駅近の1LDKは無数に存在します。その中でこの物件が選ばれるための「明確な強み」が必要です。
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広さの問題: 1LDKで36.42㎡は、ファミリーやグループ(4人以上)での利用には手狭に感じられる可能性があります。ターゲットはカップルやビジネス利用、少人数グループに絞られるでしょう。
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方位が北西: 日当たりや眺望が期待しにくい可能性があります。特に冬場は寒く感じやすいかもしれません。オール電化である点は光熱費に影響する可能性もあります。
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駐車場は近隣、空きなしの可能性: 駐車場は「近隣有」で月2.5万円と高額、かつ「バイク置場:空なし、駐輪場:有/町会費400円」とあり、駐車場も空きがない可能性があります。車での来訪者をターゲットにする場合は不便です。
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現況「居住中」: 入居時期が「相談」となるため、具体的な開業準備スケジュールが立てにくい可能性があります。
契約前に確認するポイント
この物件で民泊運営を検討するなら、以下の点を徹底的に確認してください。
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賃貸保証会社の詳細: 「K-net(近畿保証サービス)初回総賃料50%」とありますが、民泊運営の場合、保証会社の審査が通常賃貸と異なる、または保証料が割高になる可能性があります。事前に保証会社に確認が必要です。
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民泊に関する詳細な取り決め: 「民泊可」とは言え、具体的な運用ルール(最大宿泊人数、利用可能な設備、清掃方法、近隣への配慮事項、騒音対策など)を貸主や管理会社と書面で確認しましょう。また、事業用としての賃料や条件の変更がないかも確認が必要です。
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内装・家具家電の予算: デザイナーズマンションですが、民泊としてゲストが快適に過ごせる家具・家電、リネン類、アメニティ、調理器具などの購入費用を見積もりましょう。1LDKで36.42㎡という広さで、最大限の収容人数(例えば3~4人)を想定した場合、どのようなレイアウトにするか、具体的なイメージが必要です。
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消防法への適合: マンションタイプの民泊施設として必要な消防設備(自動火災報知設備、消火器、誘導灯など)の設置義務と費用を、大阪市管轄の消防署に確認する必要があります。
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大阪市の条例・規制: 大阪市は民泊に関する条例が整備されています。届出の要件、年間営業日数制限(180日)、管理体制、トラブル発生時の対応など、全ての要件を満たせるか確認しましょう。特に近隣住民への説明義務などは重要です。
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管理組合の規約: 民泊利用が許可されていても、マンションの管理規約で細かなルールが定められている場合があります。必ず確認し、それに従って運用できるか確認しましょう。
周辺地域の平均稼働率
大阪市全体の民泊平均稼働率は、国内でもトップクラスに高く、**約80%〜90%**で推移しています。特に主要駅や観光スポットに近いエリアではこの傾向が顕著です。京セラドーム大阪が近いため、イベント開催時には稼働率が跳ね上がるでしょう。しかし、その分競争も非常に激しく、高稼働率を維持するには、物件の魅力だけでなく、価格設定、写真の質、レビュー管理、迅速なゲスト対応など、多角的な運営努力が求められます。
運営した場合の想定年間利益(現実的なシナリオ)
賃料と管理費の合計が月額147,500円という固定費は、大阪の激戦区で利益を出す上で重い負担となります。
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月額固定費(賃料+管理費): 147,500円
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年間固定費(賃料+管理費): 147,500円 × 12ヶ月 = 1,770,000円
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初期費用: 礼金1ヶ月(137,000円)、鍵交換代(27,500円)、保証会社初回費用(総賃料の50% 約73,750円)、住宅保険(15,000円/2年)、家具家電・備品費用(最低でも50万円〜100万円以上)
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合計初期現金支出(概算): 137,000 + 27,500 + 73,750 + 15,000 + 500,000 = 約753,250円(これに加えて1ヶ月目の家賃+管理費)
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平均宿泊単価: ドーム前千代崎周辺の1LDKで、稼働率を考慮し、1泊1組18,000円(イベント時を除く平常時の平均として試算)
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年間営業可能日数: 180日(住宅宿泊事業法による上限)
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想定稼働率: 75%(激戦区での目標値、決して低くない)
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年間想定稼働日数: 180日 × 0.75 = 135日
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年間想定売上: 18,000円 × 135日 = 2,430,000円
ここから諸経費を差し引きます。
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プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 243,000円
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清掃費・消耗品費: (1回4,000円として、50回分程度※複数泊考慮) = 200,000円
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光熱費・通信費: (オール電化だが、夏冬は変動。月1.5万円と仮定) = 180,000円
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修繕積立費・保険料・町会費等: (月1万円と仮定) = 120,000円
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年間総費用(賃料含む): 1,770,000円 (固定費) + 243,000円 (手数料) + 200,000円 (清掃) + 180,000円 (光熱費) + 120,000円 (その他) = 2,513,000円
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想定年間利益(税・初期費用回収前): 2,430,000円 (売上) - 2,513,000円 (総費用) = ▲83,000円
この計算では、年間で約8万円の赤字という厳しい結果になりました。初期投資を回収するどころか、年間の運営だけでも赤字に陥る可能性が高いことを示唆しています。 この試算は、そこそこの高稼働率(75%)を前提としていますが、現実には競争が激しいため、この稼働率を安定して維持するのは至難の業です。特に、京セラドーム大阪でイベントがない時期は集客が大きく落ち込む可能性があり、その期間の穴埋めが課題となります。
想定利益が低い場合の改善するためのアイデア
現状の試算では赤字の可能性が高く、この物件で民泊事業を成功させるには、相当の努力と戦略が必要です。
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徹底的な差別化戦略:
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京セラドーム特化型: ドームイベント参加者向けに特化したアメニティ(ペンライト、ユニフォームなど)や情報提供(周辺の飲食店、イベント後の移動手段など)を充実させる。イベント時の高単価設定と、イベントがない時期の割引を組み合わせる。
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デザイナーズ物件の強み活かす: 物件の魅力的な内装や雰囲気を最大限に引き出すスタイリングと写真で、SNSなどを活用し、デザイン重視のゲスト層を狙う。
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ターゲットを明確化: カップル、少人数旅行、ビジネス利用など、ターゲットを絞り込み、その層に響く設備やサービス(高速Wi-Fi、スマート家電など)を強化する。
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収容人数の最大化と客単価向上:
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36.42㎡の1LDKで最大限何人まで宿泊できるかを検討し、簡易ベッドやソファーベッドの導入で収容人数を増やす。これにより、グループ利用での客単価アップを狙う。ただし、過剰な詰め込みは快適性を損ねるため注意。
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USJへのアクセスが良いことを強くアピールし、ファミリー層(少人数)や友人同士の利用を促す。
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効率的な運営体制の構築:
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セルフチェックイン・アウトシステム: 鍵の受け渡しを無人化し、人件費を削減。
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清掃の最適化: 信頼できる清掃業者を見つけるか、自力での清掃を検討。短期間で回転させるため、効率的な清掃体制を構築する。
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備品管理の徹底: 消耗品はまとめ買いでコストを抑え、破損や紛失を防止するための対策を講じる。
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マーケティングとレビュー管理の強化:
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魅力的な写真と紹介文: プロに依頼した写真や、物件のストーリー性を感じさせる紹介文で、他の物件との差別化を図る。
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SNSでの発信: Instagramなどで物件の魅力を発信し、フォロワーを獲得する。
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レビューへの迅速かつ丁寧な対応: 高評価を維持し、新規のゲスト獲得に繋げる。悪いレビューにも真摯に対応し、改善点として活かす。
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この物件は「民泊可」という大きな武器を持っていますが、それだけで成功が約束されるわけではありません。大阪の厳しい競争環境の中で利益を出すためには、賃料に見合うだけの付加価値を提供し、効率的な運営を行う必要があります。 あなたは、この物件のポテンシャルを最大限に引き出し、大阪の民泊市場で勝ち残る自信がありますか?