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【大阪市平野区】新加美駅徒歩7分!15.8万円のリフォーム済み戸建で民泊は儲かるか?「1階居酒屋」の騒音リスクとリアルを辛口診断!

物件情報

 

以下は今回診断する物件の概要です。

  • 物件名: 加美東6丁目貸し戸建

  • 掲載元: LIFULL HOME'S

  • 住所: 大阪府大阪市平野区加美東6丁目11-23

  • 最寄り駅: おおさか東線 新加美駅 徒歩7分、JR関西本線 加美駅 徒歩10分

  • 賃料: 158,000円

  • 管理費等: - (なしと仮定)

  • 敷金/礼金: 無 / 500,000円

  • 保証金/敷引・償却金: - / - (なしと仮定)

  • 面積: 93.21㎡

  • 間取り: 不明 (写真から複数部屋あり)

  • 所在階/階数: - / 3階建 (賃貸部分は1階店舗を除く2階・3階部分と推測)

  • 建物構造: 鉄骨造

  • 築年月(築年数): 1987年7月 (築39年)

  • 特記事項:

    • 民泊等事業用利用可能!

    • リフォーム済! (写真を見る限り内装は非常に綺麗)

    • 1階店舗は居酒屋さん盛業中(賃貸部分に含みません)

    • 居酒屋との動線は異なり、出入り口の問題なし

    • 残置物も綺麗に片付けられており、トラブルになりそうな事象なし

    • 即引渡し可 (現況空家)

  • 初期費用: 礼金50万円、室内清掃費用55,000円、住宅保険要

  • 契約期間: -(不明)

詳細はこちらのURLをご参照ください: 物件詳細


 

民泊適正評価:好条件と、拭えない「居酒屋上の宿」リスク

 

 

この物件の民泊適正は「リフォーム済みで初期投資を抑えられる点は大きな強みだが、1階居酒屋による騒音リスクをどう乗り越えるかが成功の鍵」と評価します。出入り口が別で残置物の問題がないのは安心材料ですが、最も重要なのは「音」の問題です。

 

【メリットとして期待できる点】

  • 「民泊等事業用利用可能!」: これが最大のメリット。民泊許可物件は依然として希少です。

  • 「リフォーム済!」: 掲載写真が示す通り、内装が非常に綺麗で清潔感があります。これにより、大規模な改装費用を大幅に抑えられ、初期投資の負担が軽減されるのは大きな魅力です。

  • 駅徒歩7分・10分の好立地: 大阪市平野区内とはいえ、2路線2駅が徒歩圏内なのはアクセス面で強みです。大阪市内中心部へのアクセスも比較的良好でしょう。

  • 敷金なし: 初期費用を抑えられる点で、わずかながら助けになります。

  • 広さ93.21㎡の戸建: グループやファミリーでの利用に対応でき、複数部屋があることで快適な宿泊を提供できます。

  • 居酒屋との動線は別: ゲストと居酒屋の客の出入りが干渉しないため、プライバシーや混雑の問題は回避できるでしょう。

  • 残置物の問題なし: 写真の通り綺麗に片付けられているので、余計な撤去費用やトラブルの心配は少ないでしょう。

【克服すべき課題】1階居酒屋がもたらす「音」と「集客」の壁 出入り口や残置物の問題が解消されても、1階の居酒屋の存在は依然として大きな課題です。

  • 騒音問題: 居酒屋の営業音(BGM、客の話し声、厨房の音、ゴミ出しの音など)は、階上に宿泊するゲストにとって大きなストレスとなり得ます。特に夜間の営業で、ゲストの睡眠を妨げる可能性が高いです。これはゲストのレビュー評価に直結し、集客に深刻な悪影響を及ぼします。

  • 匂い: 居酒屋から発生する調理の匂いが、賃貸部分にまで上がってくる可能性は依然としてあります。これもゲストの快適性を損ねます。

  • 賃料15.8万円の回収: 大阪市内の民泊激戦区において、この賃料は決して安くありません。1階の騒音リスクを抱えながら、高稼働率と高単価を維持できるかどうかが鍵となります。

  • 築39年: 鉄骨造とはいえ、築年数は39年とそれなりに経過しています。外壁や屋根、配管などの老朽化による予期せぬ修繕費用が発生するリスクも考慮すべきです。


 

契約前に確認するポイント

 

 

この物件で民泊運営に踏み切るなら、以下の点を徹底的にクリアにしてください。

  1. 1階居酒屋の営業時間と具体的な騒音・匂いの状況:

    • 必ず夜間に現地を訪問し、居酒屋の営業中の騒音レベルを体感する。 可能であれば、賃貸部分となる2階・3階で実際に滞在し、音の響き具合を確認するのがベストです。

    • 居酒屋の営業時間、定休日、客層、音漏れの状況、匂いの上昇具合などを管理会社や貸主を通じて詳しく確認する。

    • 防音対策(窓の二重サッシ化、壁の補強など)が可能か、またその費用は誰が負担するのかを具体的に確認し、契約書に明記してもらう。

  2. 既存設備の動作確認と保証:

    • 「リフォーム済」であっても、残置物である以上、その設備がいつ壊れてもおかしくありません。内覧時に全ての設備を実際に動かし、不具合がないか徹底的に確認する。

    • 故障時の修理義務や費用負担について、貸主との間で明確な取り決めを行う。

  3. 「民泊等事業用利用可能」の具体的な条件:

    • 貸主がどこまで民泊利用を許可するのか、具体的な運用ルール(最大宿泊人数、細かな改装範囲、近隣への配慮事項、ゴミ出しルールなど)を契約書に明記してもらう。

  4. 消防法への適合:

    • 民泊運営には消防法に基づく設備(自動火災報知設備、消火器、誘導灯など)の設置が義務付けられています。管轄の消防署に相談し、必要な設備とその費用、必要な工事などを確認する。1階が店舗であることから、通常の戸建民泊とは異なる消防法や建築基準法の適用を受ける可能性もあるため、専門家への確認が必須です。

  5. 大阪市の条例・規制:

    • 大阪市の住宅宿泊事業に関する条例や規制(年間営業日数制限、管理体制、トラブル対応など)を確認し、全て満たせるか確認する。


 

周辺地域の平均稼働率

 

 

大阪市全体の民泊平均稼働率は**80%〜90%**と非常に高い水準ですが、これはあくまで市全体の平均です。平野区は観光の中心地というよりは住宅街の性格が強く、他の観光エリアと比較すると集客に工夫が必要です。駅からのアクセスは良いものの、1階が居酒屋であることのマイナス要素を考慮すると、稼働率を70%〜80%で維持するのも容易ではありません。 特に騒音問題はゲストレビューに大きく影響し、リピーターや新規予約に響く可能性があります。

 

 

運営した場合の想定年間利益(依然として厳しいシナリオ)

 

 

リフォーム済で初期投資が抑えられる可能性はあるものの、賃料15.8万円という固定費と、1階居酒屋の騒音リスク、そして集客の難しさを考えると、収益を出すのは依然として困難であり、赤字のリスクは高いです。

  • 月額賃料: 158,000円

  • 年間賃料: 158,000円 × 12ヶ月 = 1,896,000円

  • 初期費用:

    • 礼金50万円、室内清掃費用55,000円、住宅保険(約2万円)が発生。

    • 家具家電備品: リフォーム済みでも、民泊運営に必要な質の高い家具、家電、リネン類、消耗品、インターネット環境の整備などで最低でも50万円〜150万円程度は見積もるべきです。

    • 合計初期現金支出(概算): 50万 + 5.5万 + 2万 + 50万 = 約107.5万円〜(これに加えて1ヶ月目の家賃)

  • 平均宿泊単価: 広さ93㎡、グループ・ファミリー向けとして、1泊1組30,000円(騒音リスクを考慮すると、高単価維持は厳しい可能性も)

  • 年間営業可能日数: 180日(住宅宿泊事業法による上限)

  • 想定稼働率: 60%(騒音リスクを考慮した、挑戦的な目標値)

  • 年間想定稼働日数: 180日 × 0.60 = 108日

  • 年間想定売上: 30,000円 × 108日 = 3,240,000円

ここから諸経費を差し引きます。

  • プラットフォーム手数料: 売上の約10% = 324,000円

  • 清掃費・消耗品費: (1回8,000円として、108回分) = 864,000円

  • 光熱費・通信費: (月2.5万円と仮定) = 300,000円

  • 修繕積立費・その他雑費: (築古リスク考慮し、月2万円と仮定) = 240,000円

  • 年間総費用(賃料含む): 1,896,000円 (賃料) + 324,000円 (手数料) + 864,000円 (清掃) + 300,000円 (光熱費) + 240,000円 (その他) = 3,624,000円

  • 想定年間利益(税・初期費用回収前): 3,240,000円 (売上) - 3,624,000円 (総費用) = ▲384,000円

この計算では、年間で約38万円の赤字という結果になりました。リフォーム済みというメリットがあっても、賃料の高さと1階居酒屋の騒音リスク、そして集客の難しさが重くのしかかり、利益を出すのは非常に困難です。


 

想定利益が低い場合の改善するためのアイデア

 

 

上記の通り、この物件で民泊として安定的な利益を出すことは困難であり、一般的な感覚では「見送るべき」です。それでも挑戦したいというのであれば、騒音対策への投資と、独自のコンセプト構築が必須です。

  1. 徹底的な騒音対策と情報の透明化:

    • 防音工事への投資: 窓の二重サッシ化、壁の防音材施工など、可能な限りの防音対策を検討する。これにより、初期投資は増えますが、ゲストの満足度を高めるためには不可欠です。

    • 居酒屋情報の明記: 予約サイトの物件説明に「1階が居酒屋であること」「営業時間中は音がする可能性があること」を正直に、かつ丁寧に記載する。これにより、クレームのリスクを減らし、理解あるゲストのみに訴求する。

    • 耳栓の常備: ゲストへの配慮として、質の良い耳栓を常備するなど、細やかなサービスを心がける。

  2. ターゲットの明確化とコンセプト設計:

    • 「夜遊び後の拠点」コンセプト: 居酒屋の存在を逆手に取り、「夜の大阪を満喫した後に帰ってきて寝るだけ」といった、騒音を気にしない層や、逆に1階で飲食してから宿泊したいという層(ただし居酒屋との提携が必須)をターゲットにする。

    • 大阪の「ディープな日常体験」を求める層: 観光地の喧騒から離れた、ローカルな雰囲気を求めるゲストに訴求する。周辺の飲食店や商店街情報を充実させる。

    • ビジネスユース・出張利用: 騒音をあまり気にしないビジネスマンや、長期出張者向けのプランを提供する。

  3. 徹底的なコスト管理と運営の効率化:

    • 内装活用の徹底: 綺麗な内装を最大限に活かし、家具家電以外の新規購入を最小限に抑える。

    • 清掃のセルフサービス化: ゲストに退去時の簡易清掃を依頼することで、清掃費用を削減する。

    • 無人運営システム: チェックイン/アウトはスマートロックなどで完全に無人化し、人件費を最小限に抑える。

この物件は、リフォーム済みという初期投資のメリットがある一方で、1階が居酒屋という大きなハンデを抱えています。このハンデをどう乗り越え、ゲストに選ばれる物件にするか、その戦略と実行力にかかっています。

あなたは、この物件がもたらす「リフォーム済みの安心感」と「居酒屋の騒音リスク」の間で、民泊ビジネスを成功させる自信がありますか?