Airbnbにおけるホストへの扱いの変遷:初期の手厚さから現在の厳しさへ
民泊運営を考えるうえで避けて通れないのが Airbnb の存在です。2010年代半ば以降、Airbnbは世界中で急成長を遂げ、特に2015年ごろにホストを始めた方は「他のホテル予約サイトとはまったく違う」「ホストにとても優しい」と感じたのではないでしょうか。
しかし近年は状況が大きく変わり、むしろホストにとっては厳しい制度が次々と導入されています。本記事では、その歴史的な流れを追いながら、今後の民泊運営に必要な視点を考えていきます。
初期(2015年前後):ホストにとって画期的で手厚いサポート
当時のAirbnbは、とにかくホストの立場に寄り添っていました。これは、従来のホテル予約サイト(Booking.comやExpediaなど)と比較すると非常に革新的でした。
初期にホストに優しかった制度・特徴
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レビューが双方向
宿泊者だけでなくホストもレビューを書ける仕組み。マナーの悪いゲストに対しては低評価をつけることができ、それが次回以降の予約に影響しました。 -
ゲストのブロック機能
トラブルを起こした宿泊者は、ホスト側で再度受け入れを拒否できました。 -
保証制度が充実
宿泊者による設備破損やトラブルに対して、領収書を提出すればすぐに補償が下りることが多かったです。 -
ホスト優先のサポート体制
カスタマーサポートもホストの主張を尊重してくれる傾向が強く、安心して運営できる雰囲気がありました。
実体験:手厚い保証が受けられたケース
私自身、実際に次のようなトラブルを経験しました。
あるゲストが滞在中に 女性用生理用品をトイレに流し、詰まらせてしまった のです。
チェックアウト後に連絡しても「自分はやっていない」と主張し、メッセージも無視されました。次のゲストが来るまでに緊急工事を手配し、なんとか間に合わせるしかありませんでした。
一連の流れをAirbnbに報告し、工事代の領収書を送付したところ、すぐに全額補償 が実行されました。さらに、そのゲストには悪い評価がつき、その後はAirbnbを利用できなくなりました。
このように、当時は「問題を起こした宿泊者を守る」のではなく「真面目に運営するホストを守る」仕組みが徹底されていたのです。
現在(2020年代):宿泊者優先でホストに厳しい制度へ
しかし現在のAirbnbは大きく様変わりしました。十分に巨大なプラットフォームとなった今、方針は「ホストよりも宿泊者を守る」方向にシフトしています。
現在のホストに厳しい制度・傾向
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宿泊者が不満を訴えると即返金
事実関係が曖昧でも、ゲストが不満を主張すれば全額返金になることが多い。 -
レビューが検索順位に直結
低評価が数件続くだけで検索結果の表示順位が急落。予約が激減するリスクあり。 -
理不尽なレビューも削除されにくい
たとえ嘘や誇張が含まれていても、宿泊者のレビューは基本的に残ってしまう。 -
アカウント停止のリスク
クレームが重なると、リスティング削除やアカウント停止に直結する場合がある。
実際によくある被害例
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騒音を注意したら「オーナーが冷たかった」と低評価をつけられた。
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禁煙ルールを守らないゲストに注意したら、報復的に星1レビューを残された。
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実際には提供していないサービスを「なかった」と書かれて評価を下げられた。
こうしたケースでは、証拠を提出してもホストの主張が通らず、レビュー削除や補償が行われないことも多々あります。
なぜ変わったのか?
この変化の背景には次のような事情が考えられます。
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2010年代:急成長期 → ホストを厚遇して物件数を増やす必要があった
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現在:成熟期 → 多少ホストが減っても集客に支障がない規模に成長した
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悪質ホスト対策 → 過去には低評価がつくとリスティングを削除し、同じ物件で再登録を繰り返すホストも多かったため、厳格化された
ただし現在の仕組みは「宿泊者に偏りすぎている」ため、いずれバランス調整が行われる可能性は高いでしょう。
Airbnb依存はリスク!今後のホストが取るべき戦略
こうした流れを踏まえると、Airbnbだけに依存して集客するのは非常にリスクが高い と言えます。
対策の方向性
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複数のプラットフォームを利用する
Airbnbに加え、Booking.com、Expedia、じゃらん、楽天トラベルなど複数に掲載。 -
自社公式サイトを作成する
自前で予約窓口を持つことで、プラットフォームの規約変更や手数料に左右されない。 -
サイトコントローラーを導入する
在庫管理や料金調整を一元化し、管理工数を最小限にする。
まとめ
Airbnbは2015年ごろ、ホストにとって「夢のように手厚い」サービスでした。しかし現在は宿泊者優先に傾きすぎ、ホストにとって厳しい環境になっています。
それでも民泊市場は拡大を続けており、柔軟に戦略を取ることで十分に成功できます。Airbnbに依存せず、複数のプラットフォーム+自社サイトを組み合わせて運営することが、これからの時代に生き残るための最重要ポイントです。